リバランスはリスク管理のために行うもの

最初に答えを言うと、リバランスの目的は投資家がベストだと考える資産配分を維持することで、想定外のマイナスを回避することです。例えば、先ほどの直近10年間の分析では、リバランスせずに放置した場合のほうが資産は圧倒的に大きくなりましたが、結果として2021年9月末の資産配分は、株式80%/債券20%とかなり株式比率の高い、つまりリスクの高いポートフォリオになってしまいました。

仮にこの後、リーマンショック級の混乱が生じ、株式は▲40%下落し、債券はそのまま(±0%)だったとします。この時リバランスしていなければ、株式比率が高まっている分、▲32%(=▲40%×80%+0%×20%)ものダメージを被ることになりますが、しっかりリバランスをしておけば、▲20%(=▲40%×50%+0%×50%)のダメージに留めることができます。

もともと株式50%/債券50%というのは、投資家が自分にとって長期的にベストだと考えて決めた資産配分です。その配分を維持し続けた結果として被るダメージ(▲20%)は、大きなダメージではあるものの計画の想定内と言えますが、リバランスしなかったことによる追加の▲12%(=32%-20%)は想定外のマイナスです。

人間は一般的には想定外の事態に陥るとパニックになって不適切な行動を取ってしまいがちです。このような想定外の事態を招かないためには、リバランスすることでベストな資産配分を維持し、損失が生じたとしても想定内に抑え込むことが必要なのです。