11月21日は吉田松陰の命日です。現在の山口県萩市に開かれた「松下村塾(しょうかそんじゅく)」を主宰し、高杉晋作や伊藤博文など、多くの偉人を輩出しました。NHK大河ドラマ『花燃ゆ』では妹・文(ふみ)が取り上げられたことでも有名ですね。

なぜ吉田松陰は現代まで愛されるのか、その生涯と教えを学びましょう。

11歳でお殿様に講義するほどの天才

吉田松陰は1830年9月、山口県萩市の松本村の武士の家に生を受けます。学問に秀でた才能を持ち、1839年にはわずか10歳で藩校「明倫館(めいりんかん)」の教壇に立ちました。翌年には長州藩(現在の山口県)のお殿様に兵学講義を行い、その才能を認められます。

松下村塾は1842年に松陰の叔父である玉木文之進が自宅で私塾を開いたのが始まりで、1857年に当時28歳の松陰が引き継ぎました。身分や階級にとらわれず誰でも学ぶことができ、塾生が来れば昼夜を問わず講義が行われました。松下村塾は2015年、「明治日本の産業革命遺産」の1つとして世界遺産に登録されています。

「誰でも学ぶことができる」となると、現代の感覚ではお金が気になるところ。松下村塾は、塾生が自主的に支払うケースはあったかもしれませんが、月謝や会費のない私塾でした。学問の天才から無料で学べるなんてうらやましいですね。

ちなみに文部科学省によると、高校生は学習塾に平均で年間30万円前後の費用を支払っているようです。

【高校生(全日制)の学習塾費の平均(年間)】
公立:28万3000円
・私立:33万8000円
出所:文部科学省 子供の学習費調査(平成30年度)

もっとも、松下村塾は子供も学んだようですが、大人が学ぶ私塾でした。現在でいうと「ビジネススクール(経営大学院)」に相当するでしょうか。その場合はさらに高額です。

【主なビジネススクール(経営大学院)の学費(入学金+授業料2年分)】
・一橋大学:156万7920円※1
・京都大学:135万3600円※2
・早稲田大学(全日制グローバル):372万6000円※3
参考:
※1 
一橋大学大学院ホームページ
※2 京都大学ホームページ
※3 早稲田大学大学院2022年度入学試験要項