今も色褪せない、数々の名言

今でも心に響く珠玉の言葉を数多く残したが、たとえば、

「知恵を出せ、出ないものは汗をかけ、それができなければ去れ!」、「これから期待される社員は変化に挑戦しうる人だ」などとともに、「人と比較するな、比較は自分とだけやれば良い」と、自分が納得する生き方を促し、肩書は時価に過ぎないと、明日に向けて日々全力で生きることを促した。

「グズグズしない。完璧主義にこだわらないで60点主義で早く決断せよ。そうすれば60点のものでも80点になる」として、早く決断を下すこと自体が運を呼び込む可能性があると説いた。

「深く掘り下げるには幅が必要だ。専門家といわれる人でも、その部門だけにとらわれないで隣接する領域にも関心の幅を広げてこそ、自らの専門分野もより深くなる」と、幅広い勉強や研究を促した。

「個人は質素に、社会は豊かに」という考え方も終生変わらぬ信条で、行財政改革に携わったときのバックボーンだった。信心深い母親・登美の教えによるところが大きいと言われる。

また、「日々新たに」という信念の持ち主でもあった。「今日は、過去のいかなる偉人も経験できなかった日だ」として、今日という日を懸命に生きようと、毎朝歯を磨きながら自らの気持ちを引き締めていたそうだ。

 

執筆/大川洋三
慶應義塾大学卒業後、明治生命(現・明治安田生命)に入社。 企業保険制度設計部長等を歴任ののち、2004年から13年間にわたり東北福祉大学の特任教授(証券論等)。確定拠出年金教育協会・研究員。経済ジャーナリスト。
著書・訳書に『アメリカを視点にした世界の年金・投資の動向』など。ブログで「アメリカ年金(401k・投資)ウォーク」を連載中。