finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
運用会社ブランドインテグレーション評価2024結果発表

【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からの評価は? トップはキャピタル・インターナショナル、運用力やサポート力で図抜けた評価/IFA法人編

finasee Pro 編集部
finasee Pro 編集部
2025.03.11
会員限定
【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からの評価は? トップはキャピタル・インターナショナル、運用力やサポート力で図抜けた評価/IFA法人編

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)法人が選ぶ、優れた運用会社(ブランドインテグレーション評価)の全国調査で、2024年に総合的にもっとも高い評価を得たのはキャピタル・インターナショナルだった。同社は、「運用力」や「サポート力」など個別の評価項目でもほとんどでトップの評価を受け、総合的にもっとも優れた運用会社として評価されている。第2位はアライアンス・バーンスタイン、第3位はフィデリティ投信と外資系運用会社がトップ3を独占した。IFA法人が運用会社を評価する6つの軸(「運用力」「商品開発力・企画力」「営業担当者・研修担当者の質」「サポート力」「識別力」「ガバナンス」)の中で、もっとも重視しているのは「運用力」だ。それに次ぐのが「サポート力」「営業担当者・研修担当者の質」「識別力」「ガバナンス」であり、「商品開発力・企画力」は最後になった。 

長期の運用実績が示す「運用力」とは?

IFA法人を対象にして運用会社の「運用力」について評価するランキングをつくると、おおむね総合ランキングと一致している。銀行や証券などの金融機関に属さず、自らの資産運用アドバイスの力を頼りに顧客に向き合っているIFA法人にとっては、提供する商品のパフォーマンスは、自らのアドバイス力の優劣に直結しかねない。それだけにIFA法人の評価は、「運用力」については厳しく見ていると考えられる。

トップに評価されたキャピタル・インターナショナルは旗艦ファンドである「キャピタル世界株式ファンド」が純資産残高7800億円を超える大型ファンドとなり、為替ヘッジなしの他に、「限定為替ヘッジ」、「年2回決算(分配重視)」、「年2回決算(分配重視/限定為替ヘッジ)」というシリーズがある。為替ヘッジなしのコースは2007年10月に設定され、新興国を含む全世界の上場株式を投資対象とし、投資市場の環境変化を超えて中長期に成長する企業に厳選投資している。同ファンドが投資している「キャピタル・グループ・グローバル・ニューパースペクティブ・ファンド」は1973年の設定で50年以上の運用実績がある。たとえば、1993年12月末から2023年12月末まで30年間にわたって毎月1万円を積立投資した場合、投資元本が360万円に対し、「キャピタル・グループ・グローバル・ニューパースペクティブ・ファンド」(円ベース)を使った場合は2058万円の評価額となり、これは、同時期に「MSCI ACワールド・インデックス」(2011年9月末以降、それ以前はMSCIワールド・インデックス)(円ベース)を使った場合の評価額1567万円を大きく上回っている。

同じように、1983年12月末から2023年12月末まで40年間のつみたて投資を行った場合は、投資元本480万円に対して「キャピタル・グループ・グローバル・ニューパースペクティブ・ファンド」(円ベース)を使った場合は4973万円、全世界株式インデックスを使った場合は3116万円という結果だった。このような良好な運用実績によって、米国籍のアクティブファンドの純資産残高ランキングで上位20ファンド中に13本はキャピタル・グループの運用ファンドが占めている(2023年12月末時点)。このような圧倒的な実績が、客観的な実績としてIFAの評価のつながっていると考えられる。

また、「運用力」で第2位にランキングされたアライアンス・バーンスタインは、国内のアクティブファンドの中で最大の純資産総額約3兆1700億円の「アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信D毎月決算型(為替ヘッジなし)予定分配金提示型」を運用する会社。第3位のフィデリティ投信は、米国籍アクティブファンドではキャピタル・グループに次ぐ大型ファンドを運用し、日本国内で設定運用する外国株式ファンドでは残高が8760億円の「フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)(愛称:テンバガー・ハンター)」を運用している。

「運用力」の評価で外資系運用会社が上位に評価される傾向にあるのは、ここ数年間にわたって米国株式の上昇率が大きく、また、円安傾向も進んだということもあって、外国株式型ファンドの運用成績が相対的に良かったということも影響しているものと考えられる。

「サポート力」と「人材」の評価ポイントは?

「サポート力」と「営業担当者・研修担当者の質」とで高く評価されているのは、やはりキャピタル・インターナショナルだった。「サポート力」の第2位は同ポイントでアライアンス・バーンスタインとフィデリティ投信。「営業担当者・研修担当者の質」では第2位がアライアンス・バーンスタイン、第3位がフィデリティ投信だった。

キャピタル・グループは、2020年以降、米国においてアドバイザー(IFA)への定期的な実態調査「アドバイザー・ベンチマーク・スタディ」を実施。高成長しているIFAの成長の秘訣についてさまざまな分析を行っている。この米国での実績と経験を踏まえ国内においても「キャピタル・アドバイザー・スタディ・ジャパン 2024 (IFA実態調査)」を実施し、国内の実態を客観的に把握するとともに、成功のポイントを分析してレポートにまとめている。このような取り組みは、キャピタル・グループが投資信託の販売チャネルとしてIFA法人を非常に高く評価し、その成長をサポートしようという姿勢の表れといえる。この姿勢がIFA法人からの評価にもつながっているのだろう。

「商品開発力・企画力」だけ国内運用会社

「識別力」「ガバナンス」でもトップはキャピタル・インターナショナルだった。そして、評価のポイントは高くないものの「商品開発力・企画力」でトップに評価されたのは三菱UFJアセットマネジメントだった。第2位がアセットマネジメントOneとなり、この項目だけが国内運用会社になった。

IFA法人が「商品開発力・企画力」を重視しないのは、ビジネスモデルとして長期の資産形成をサポートするという姿勢に重きを置いているからなのだろう。市場の変化に応じて目先の変わる新商品が出てくるよりも、一貫して長期で投資し続けることができるファンドの方にニーズが高いのだろう。ただ、その長期で投資するファンドがインデックスファンドであれば、IFA法人のアドバイザーとしての魅力は薄まってしまう。IFA法人の大きな役割として、投資家が長期に投資を継続できるように伴走するという役割もあるが、それに加えて、提案するファンドのパフォーマンスがインデックスを上回る成績を実現することが望ましい。

もっともパフォーマンスの点を強調し過ぎると、市場の変調によって一時的にパフォーマンスが悪化した時に顧客の信頼を失うことにもつながりかねない。そのようなIFAの事情を考えると、50年以上にわたってインデックスを上回るパフォーマンスの実績があるキャピタル社が圧倒的に支持される理由がわかる。

一方、「商品開発力・企画力」について近年はインデックスファンドの提供で大きな支持を集めている三菱UFJアセットマネジメントが高く評価されているのは、どういうことなのだろうか。IFA法人が「商品開発力・企画力」において重視しているポイントは、「商品のコストとリターンの整合性がある」、「先⾒性が感じられる商品を開発している」というような点だ。「低コストのインデックスファンド」は「コストとリターンの整合性」という点において、特に外国株式インデックスファンドは非常に優れた商品といえた。ところが、円安トレンドに変化があらわれ、史上最高値を連続して更新し続けてきた海外の株式市場についても先行きに不透明感が強まってきた。外国株式インデックスファンドで大きなシェアを持つだけに、今後の市場変化への備えについてもどこよりも真剣に知恵を絞っているのは三菱UFJアセットマネジメントであるという見方は可能だ。その期待を込めた評価なのかもしれない。それは、国内の運用会社に対する期待でもあるのだろう。

米国でアクティブファンドの販売でIFAに存在感

IFAは米国におけるアクティブファンドの重要な販売チャネルになっている。米国においても国内と同様にインデックスファンドの利用が急速に進み、インターネット販売が主流となる流れはあるのだが、近年、米国におけるIFAを通じたアクティブファンドの販売力は、米国の投信業界が注目するほど成長を遂げている。

日本においては2024年1月スタートの新NISAによって、資産運用や投資信託の活用ということが、ようやく国民的な関心事になりはじめたところといえよう。国内のIFAの市場もそれほど大きいとはいえない。日本証券業協会が発表している金融商品仲介業者の登録外務員(IFA)数は2024年6月時点で8619人と2019年6月の3632人から5年間で約2.4倍に拡大しているものの、証券会社の従業員である登録外務員の6万9965人に遠く及ばない。これが米国では2017年時点で証券会社の外務員が約4.7万人でIFAが約12.7万人で約2.7倍の人員規模になっているというデータがある。

国内において資産運用について第三者のアドバイスを受けるという習慣がない。むしろ現在は、出所の不確かなYoutubeやSNSの情報を手掛かりに「自己責任」で投資することが当たり前になっている。この状態では投資や資産形成が一時的なブームに終わってしまうことにもなりかねない。国が推進しようとしている「資産運用立国」など夢となろう。資産運用利国を目指すのであれば、IFAの育成は重要な要素になる。そのIFAに対してしっかりと向き合って情報提供を行うキャピタル・インターナショナルのような取り組みが投信業界にとっても意味があることといえるだろう。

 

 

 

 

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
次のページ 「IFA法人編」1位キャピタル・インターナショナルからのメッセージ
1 2

関連キーワード

  • #運用会社
前の記事
【運用会社ランキングVol.4】ゆうちょ銀行・郵便局からの評価は? トップは野村アセットマネジメント、セゾン投信が「運用力」で評価/ゆうちょ銀行・郵便局編
2025.03.04

この連載の記事一覧

運用会社ブランドインテグレーション評価2024結果発表

【運用会社ランキングVol.5】IFA法人からの評価は? トップはキャピタル・インターナショナル、運用力やサポート力で図抜けた評価/IFA法人編

2025.03.11

【運用会社ランキングVol.4】ゆうちょ銀行・郵便局からの評価は? トップは野村アセットマネジメント、セゾン投信が「運用力」で評価/ゆうちょ銀行・郵便局編

2025.03.04

【運用会社ランキングVol.3】地銀・第二地銀・証券会社、本部・支店それぞれで分かれる結果、支持を左右する要因は?/販売会社一般編②

2025.02.25

【運用会社ランキングVol.2】銀行・証券会社からの評価は? トップは日興アセットマネジメント、フィデリティ投信は運用力で高評価/販売会社一般編①

2025.02.25

【運用会社ランキングVol.1】運用力、サポート力、担当者の質……販売会社は運用会社を何を一番重視している? 2024年の評価を発表!

2025.02.25

おすすめの記事

【新NISA対象】ブラックロックから「iシェアーズ S&P500 トップ20 ETF」「iシェアーズ ゴールド ETF」が上場! 個人投資家にとっての魅力は…

Finasee編集部

【連載】金融史観~金融史が語る資産形成の未来~
⑫振り子の金融史観(下)―分断が進む現代の先を読む―

平山 賢一

楽天証券の売れ筋がほとんど動かなかったのは大きな変化の前兆か? 意外にもろかった「SCHD」

finasee Pro 編集部

SBI証券で「オルカン」「S&P500」の人気は継続するもののパフォーマンスは悪化、着実にランクアップするファンドとは?

finasee Pro 編集部

【文月つむぎ】毎月分配型のアウト/セーフは?当局に問われる「線引き力」

文月つむぎ

【連載】投信ビジネスのあしたはどっちだ
③トランプ関税でボラティリティが高まる今こそ能動的なフォローを

中村 裕己

著者情報

finasee Pro 編集部
ふぃなしーぷろへんしゅうぶ
「Finasee」の姉妹メディア「Finasee PRO」は、銀行や証券会社といった金融機関でリテールビジネスに携わるプロフェッショナルに向けたオンライン・コミュニティメディアです。金融行政をめぐる最新動向をはじめ、金融機関のプロフェッショナルにとって役立つ多様なコンテンツを日々配信。投資家の皆さんにも有益な記事を選りすぐり、「Finasee」にも配信中です。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【連載】金融史観~金融史が語る資産形成の未来~
⑫振り子の金融史観(下)―分断が進む現代の先を読む―
楽天証券の売れ筋がほとんど動かなかったのは大きな変化の前兆か? 意外にもろかった「SCHD」
新潟との地銀越境統合は成功するか? 群馬県の金融事情【金融風土記】
SBI証券で「オルカン」「S&P500」の人気は継続するもののパフォーマンスは悪化、着実にランクアップするファンドとは?
【文月つむぎ】毎月分配型のアウト/セーフは?当局に問われる「線引き力」
「支店長! 売れ筋の投資信託を3つ覚えて売れるようになりました。全ての商品を覚える必要はありますか?」
プラチナNISA新設に現実味、金融庁の懸念は業界がつい先送りした”アレ”の管理【オフ座談会vol.3:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
第9回 投資信託選びの常識を疑え!(その1)
【連載】投信ビジネスのあしたはどっちだ
③トランプ関税でボラティリティが高まる今こそ能動的なフォローを
NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か 
【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】
【連載】投信ビジネスのあしたはどっちだ
③トランプ関税でボラティリティが高まる今こそ能動的なフォローを
【文月つむぎ】毎月分配型のアウト/セーフは?当局に問われる「線引き力」
楽天証券の売れ筋がほとんど動かなかったのは大きな変化の前兆か? 意外にもろかった「SCHD」
SBI証券で「オルカン」「S&P500」の人気は継続するもののパフォーマンスは悪化、着実にランクアップするファンドとは?
新潟との地銀越境統合は成功するか? 群馬県の金融事情【金融風土記】
プラチナNISA新設に現実味、金融庁の懸念は業界がつい先送りした”アレ”の管理【オフ座談会vol.3:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑲高齢者向けNISA創設の報道で再注目される毎月分配型ファンド
「支店長! 売れ筋の投資信託を3つ覚えて売れるようになりました。全ての商品を覚える必要はありますか?」
第9回 投資信託選びの常識を疑え!(その1)
NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か 
【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】
NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か 
【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】
新潟との地銀越境統合は成功するか? 群馬県の金融事情【金融風土記】
プラチナNISAの創設案が映す「森信親イズム」の終焉
【文月つむぎ】私が相場の先行きを悲観しない究極の理由
【金融庁企画室長 今泉氏が語る】金融事業者に期待する地域貢献とプロダクトガバナンスの実践
三井住友銀行で「世界のベスト」が売れ筋トップに返り咲き、「社債」や「ゴールド」が人気化する背景は?
プラチナNISA新設に現実味、金融庁の懸念は業界がつい先送りした”アレ”の管理【オフ座談会vol.3:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
金融庁幹部「新たな不確実性の時代に突入」 トランプショックで霞が関からついに消えた「あの言葉」…
シニア向け「プラチナNISA」で毎月決算型も解禁? 毎月決算型の選び方と使い方
みずほ銀行の売れ筋上位が5カ月連続で同じ理由、株価の急落にもしっかり耐えるファンドとは?
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら