finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
岩本健已の志高く腰低く声明るく

大波乱の今こそ、アドバイザーは戸別訪問の徹底を 
ドアノックする拳が擦り切れそうになったら、ゴルフボールでコツコツと

岩本 健已
岩本 健已
株式会社想研 執行役員
2024.08.08
会員限定
大波乱の今こそ、アドバイザーは戸別訪問の徹底を <br />ドアノックする拳が擦り切れそうになったら、ゴルフボールでコツコツと

先週末から日本株の乱高下が続いています。フィナシープロをご覧になっている皆さまのご労苦は察するに余りあります。今回は皆さまのお勤めのヒントになるコラムをお届けいたします。

8月に入ってからの極端な値動きを見るにつけ、私は2008年9月に起きた「リーマン・ショック」のことが脳裏をよぎりました。我が国ではリーマン・ブラザーズ証券の破綻から「リーマン・ショック」と呼ばれることが多いですが、国際的には「世界金融危機(グローバル・ファイナンシャル・クライシス=GFC)」と呼ばれます。

当時、私は合併から間もないメガバンク系の資産運用会社の営業責任者でした。お客さまは日本国内の投資信託販売に関わっていらっしゃる銀行や証券会社、そこで販売に従事されているアドバイザーの方々でした。

リーマン・ショックの直後、日頃お世話になっているお客さまから電話が入りました。「アドバイザーが困っている。投資家にどのように対応してよいものやら、頭を抱えているばかりだ。何か解決策はないだろうか」と。私は、数年前に受けた米国研修を思い出しました。米国の老舗証券会社であるエドワード・ジョーンズの研修でした。同社の研修の教えは「アドバイスの前にカウンセリング」「アドバイザーの前にカウンセラー」でした。

私は迷わず、エドワード・ジョーンズ社に「この危機を受け、貴社はどのような研修をするお考えですか」とメールを送りました。翌日に届いた返信のタイトルは「SCHOOL OF HARD KNOCKS」。直訳すれば「ハードノックの学校」ですが、辞書をひくと慣用句で「実務の学校」とありました。

メールの本文を読むと、その主旨が理解できました。いわく、今一番悩んでいる、一番困っているのは、他ならぬ投資家の方々である。何はさておき、アドバイザーは今こそ、投資家であるお客さまのご自宅に訪問すること。そして、お客さまに寄り添い、アドバイザーでもなく、カウンセラーでもなく、セラピストになること。エドワード・ジョーンズの最近の研修では、最終日まで受講した方に出口でゴルフボールを手渡している、と。「お客さまのご自宅の玄関をノックをし続けて拳(こぶし)が擦り切れるのはしのびない。せめて擦り切れる前に、拳のかわりにこのゴルフボールでノックを」という親心からでした。

リーマン・ショックが起きる直前まで、投資信託の販売残高で銀行と証券会社が拮抗していました。1998年の窓販解禁により、銀行が50年遅れでやっと証券会社に追いつくようになったのでした。ところが、リーマン・ショックを受けて各証券会社は積極果敢に投資家へ寄り添って信頼を勝ち得たのに対し、銀行は投資家から距離を置いてしまったように思います。

さて、問題はこの夏をどう乗り切るかです。証券会社にせよ銀行にせよ、アドバイザーが最優先すべきは、投資家たるお客さまにしっかり向き合ってコミュニケーションを取ることです。かかる時期に声をかけてくれたアドバイザーをお客さまは生涯忘れることはないでしょう。真の信頼が生れる瞬間といっても過言ではないでしょう。

先週末から日本株の乱高下が続いています。フィナシープロをご覧になっている皆さまのご労苦は察するに余りあります。今回は皆さまのお勤めのヒントになるコラムをお届けいたします。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
株価急落で今日の出勤が怖いあなたへ
ブラックマンデー暴落直後に投資を始めた顧客の思い出
2024.08.05
次の記事
あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~
2024.08.22

この連載の記事一覧

岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

2024.12.26

100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

2024.12.12

「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

2024.11.28

防御は最大の攻撃なり アイスホッケーと投信窓販

2024.11.14

KKR創業者・クラビス氏の「私の履歴書」は必読です 

2024.10.31

「ドブ板」の日米比較 選挙も営業も地道に泥くさく

2024.10.24

米国で出会った「水もしたたる良い男」 ~アドバイザーの模範生?~

2024.10.10

私の人生を変えた、たった一文字 ~秋田の老舗女将の風呂敷~

2024.09.26

AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

2024.09.12

あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~

2024.08.22

おすすめの記事

楽天証券の売れ筋「米国株」にみるパフォーマンス格差、「高配当株(SCHD)」不振の理由は?

finasee Pro 編集部

【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
③ 金融行政に本部が過剰反応?対面金融機関の役割とは

finasee Pro 編集部

SBI証券の売れ筋インデックスファンドにみえる限界、波乱の株式市場の中でパフォーマンスによって人気を集めたファンドとは?

finasee Pro 編集部

【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
② 投信窓販において収益性と顧客本位をどう両立させるか

finasee Pro 編集部

【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
① 「長期・積立・分散」だけが顧客本位なのか

finasee Pro 編集部

著者情報

岩本 健已
いわもと・たけみ
株式会社想研 執行役員
1953年(昭和28年)生まれ71歳。銀行・証券会社・資産運用会社と金融業界一筋から、2023年に金融メディアの(株)想研に入社。銀行系投資顧問会社設立メンバー(1985年)、銀行の投信窓販解禁準備責任者(1997年)などを務める。全国地方銀行協会主催の新任支店長研修で3年連続講師。約60の銀行に対し、約500回、延べ約2万人に研修を実施する。趣味はアイスホッケーで71歳の現役選手(GK)。北海道苫小牧市の「王子製紙nepiaリンク」にアイスホッケー関連書籍300冊超とパネル等を寄贈。ビジネス信条は「信頼と継続」。著書「『志』高く『腰』低く『声』明るく」(地域金融研究所)
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
③ 金融行政に本部が過剰反応?対面金融機関の役割とは
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
② 投信窓販において収益性と顧客本位をどう両立させるか
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
① 「長期・積立・分散」だけが顧客本位なのか
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
楽天証券の売れ筋「米国株」にみるパフォーマンス格差、「高配当株(SCHD)」不振の理由は?
新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」
【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
【みさき透】金融庁はなぜ毎月分配型に「免罪符」を与える気になったのか
SBI証券の売れ筋インデックスファンドにみえる限界、波乱の株式市場の中でパフォーマンスによって人気を集めたファンドとは?
【文月つむぎ】伊藤豊氏が金融庁長官に就任へ 
知っておきたい新長官&3局長の横顔
静銀ティーエム証券の売れ筋で際立つパフォーマンスをみせた「モノポリー戦略株式」とは?
【文月つむぎ】伊藤豊氏が金融庁長官に就任へ 
知っておきたい新長官&3局長の横顔
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
① 「長期・積立・分散」だけが顧客本位なのか
新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」
【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
② 投信窓販において収益性と顧客本位をどう両立させるか
【みさき透】金融庁はなぜ毎月分配型に「免罪符」を与える気になったのか
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
【連載】藤原延介のアセマネインサイト㉑
パフォーマンス好調な欧州株ファンドに約11年ぶり高水準の資金流入
金融庁が「プログレスレポート2024」の公表を休止した深いワケ 「FDレポート」との違いが出せなくなった?
静銀ティーエム証券の売れ筋で際立つパフォーマンスをみせた「モノポリー戦略株式」とは?
ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋トップに新設の単位型ファンド、バランス型人気も続く
「自立と連携」を掲げて試行錯誤を重ね、確立された「銀証連携」モデルが新時代を拓く case of しずおかフィナンシャルグループ
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
「支店長! 一般職に投信のセールスをしろとおっしゃいますが、日常業務が忙しくてとても無理です!」
【文月つむぎ】投信だけでなく保険販売でもFDを徹底できるか?知っておきたい「保険業法」改正のポイント
【文月つむぎ】伊藤豊氏が金融庁長官に就任へ 
知っておきたい新長官&3局長の横顔
【文月つむぎ】「プラチナNISA」という言葉がない!自民党金融調査会の最新提言を読み解く
【特別対談】本音で語る“顧客本位”の理想と現実 現場と行政の対話が照らす「これからの投信窓販」
① 「長期・積立・分散」だけが顧客本位なのか
いわき信組の不正を見抜けなかった金融庁、「根本的な人員不足」も背景
浪川攻の一刀両断
手数料自由化とファンドラップから見る日本と米国の証券リテール改革の相違
新プログレスレポートと金融庁幹部人事の背景を読む、キーワードは「官邸の弱体化」と「尻に火が付いた暗号資産対策」
【オフ座談会vol.6:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら