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「シン・NISA」への期待と不安。地銀の救世主か最後の一撃か

金融業界人のための「霞が関の歩き方」

finasee Pro 編集部
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2023.03.16
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NISAに「ワクワク感」は必要か、老後の備えと投資の魅力

3つ目となるつみたて投資枠で販売できない商品、例えばテーマ型投信などの取り扱いはNISAの思想に関わる問題だ。投資には「未来の夢を語る」「知的ゲームを楽しむ」面があり、それがイノベーションや経済成長につながったり投資家に充実感を与えたりすることもある。ただし、それがNISAに必要なのかという論点だ。

NISA、特につみたてNISAは設立から①少額で②金融知識に乏しく③金融機関に相手にされない――といった人を対象としていた。それに対して大手メディアの経営者が「あの制度は何だ。貧乏人に運用させてどうする。貧乏人は節約すればいいのだ!」と吐き捨てるのを聞いたことがある。

見識を疑う発言だが、一面の真実を含んでいる。「なけなしの資金で運用するのは危険。節約して貯めておくべき」という点だ。定期預金、あるいは信託銀行の「ビック」や長信銀の「ワイド」の利回りが4~5%の時代ならば、それでよかったかもしれない。

しかし、預金などの利回りはほぼゼロで、日銀が現状の超低金利政策を変更しても、国内全体が資金余剰である以上、かつてのような利回りは期待しにくい。確かに、「なけなしの資金」で運用するのは危険だが、それをコントロールするために金融庁が打ち出したのが「長期・積立・分散」、そして「低コスト」(現状は超低コストだが)のコンセプトではないのか。

「夢を語る」より「王道を行く」投信、NISAの基本コンセプト

投資を通じて「夢を語る」ことに意味がないとは言わないが、質素で分かりやすい仕組みを目指したNISAで採用する必要は見つけにくい。制度のコンセプトに忠実に考えれば、アクティブ投信も企業価値の増大をシンプルに追求する商品性のものを選ぶべきではないか。

その際、大切なのは「エッジが効いている」ことではなく、提供会社の運用体制がしっかりしているか(担当者のキャリアや定着率など)やこれまでの運用実績といった点だろう。テーマ型投信(あるいはレバレッジを利かせた投信)にこだわるならば、これらは違法な商品ではないので特定口座で扱えばよい話だ。

シン・NISAの成長投資枠が1200万円に設定されたことに、ある金融庁の大物OBは「積立での長期投資以外に税制優遇を与えるのは政策意図に反する」と憤慨していた。それでも成長投資枠は一般NISAの2倍に拡大された。これは対面型販社への当局の期待と受け止めたい。

「夢を語る」投信は「売りやすい」投信でもある。業者都合の商品戦略は顧客の離反を招きかねず、営業基盤をネット証券に譲り渡す恐れがある。

執筆/霞が関調査班・みさき 透

新聞や雑誌などで株式相場や金融機関、金融庁や財務省などの霞が関の官庁を取材。現在は資産運用ビジネスの調査・取材などを中心に活動。官と民との意思疎通、情報交換を促進する取り組みにも携わる。

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