6月16日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明は、マーケットにちょっとしたサプライズで受け止められました。
なぜなら、利上げのタイミングが早められそうだからです。当初、利上げ時期は2024年以降を想定していましたが、このところ米国の景気は順調に回復基調をたどり、足元ではインフレ懸念さえ強まってきました。
景気が過熱しているのは、コロナ禍によって大幅な財政出動が行われたのとともに、直近ではワクチン接種が進み、経済活動が正常化に向けて動き出し始めたからです。2021年10-12月期の実質GDPは前年同期比で7.0%の伸びになると見られ、同時期の物価上昇率は前年同期比で3.4%に達する見通しも出ています。FRB(連邦準備制度理事会)のインフレ目標値は2.0%なので、3.4%の物価上昇率はいささかスピードオーバーの感があります。
景気が想定以上の強さで回復し、物価上昇率も目標値を大きく上回るとなれば、FRBとしてもゼロ金利政策を継続する必要はなくなります。そもそもゼロ金利自体が異常なのであり、FRBとしては一刻も早く正常化させたいのが本音だと思われます。ゼロ金利の状態で再び景気が悪化すれば、FRBとしても金融政策の打ち手がなくなるからです。
ゼロ金利の解除見通しでダウ平均株価が急落
2023年中にゼロ金利を解除するというニュースによって、マーケットはどう動いたでしょうか。
6月18日にかけて米国の株価は下落しました。ダウ平均株価は前日比1.6%安の533.37ドル安です。そして外国為替市場では米ドルが買われました。
おそらく、このコラムを読んでくださっている方にとって気になるのは、米国株価の動きだと思います。これは株式投資の教科書にも書かれていることですが、一般的に金利の上昇は株価の下落につながると言われています。
もし米国の早期利上げによって米国の株価が下落すれば、日本の株式市場にもネガティブな影響が及ぶ恐れも生じてきます。iDeCoやつみたてNISAで投資信託を積立購入している人は、「長期投資だから目先の株価の下落は気にしない」というスタンスかもしれませんが、それでも自分のポジションに大幅な含み損が生じるのは、気分の良いものではありません。
ただ、利上げが行われたからといって、これから先の株価も下落を続けるかどうかは、まだ分かりません。これは視点の問題です。