最近は「終身雇用」という言葉を、以前ほど頻繁に聞くこともなくなりました。特にコロナ禍ということもあり、今の若い世代の皆さまは、新卒入社した会社で一生働き続ける、そんなイメージを持つことすら難しくなっているのかもしれません。一方、今、退職世代の皆さまは、60歳以降も働き続けるにせよ、一旦は定年退職を迎える、そんな方が多いのではないでしょうか。

今でも5月から6月にかけて多いのが、退職金に関する運用のご相談です。公務員を中心に、年度末の3月を区切りとして定年退職を迎えた方々です。でも、まとまったお金になりますから、いろいろと考えることや迷われることもあるので、4月に退職金を受け取ったとしても、その運用のご相談は5月や6月にずれ込むのだと思います。

ご相談をうかがっていると、退職金で初投資に臨む、いわゆる「退職金デビュー」する人だけでなく、これまでに投資経験がある人でさえ、投資の基本をお忘れになっている方が多いように見受けられます。どういうことなのか、ご説明しましょう。

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退職金は、投資に回すべきなのか?

セミナー参加者(以下、参加者)
あの~、よろしいでしょうか? ちょっとご相談したいのですが……。

講師
どうぞ、遠慮なさらずに何でも聞いてください(笑顔)。

参加者
今年、定年退職を迎えたのですが、去年退職された先輩から投資を勧められて迷っているんです。

講師
退職金での投資を考えられているんですね。
ところで、勧められて迷っているって、どういうことなんですか?

参加者
実はその先輩は「退職金は絶対、投資に回したほうがいいぞ!この1年で50%くらい儲かったからな!」なんて言ってくるんですが、これって本当ですかね?