相談者のプロフィールとお金データ
【寄せられたお悩み】 「5年前に株式投資を始め、現在300万円分ほど所有。しかしながら、所有銘柄のほとんどが含み損を抱えており、現在保有している銘柄全体でマイナス200万円、つまり500万円の元本が6割にまで落ちていることになります※。 さらに、どの銘柄も配当金も株主優待も期待できない状況です。まだ損切りはしたくないと考えていますが、どうにかならないものかと考える今日この頃です。 また、60代が近づき、リスクを抑えた資産形成も考えなくては…とも考えます。株よりはリスクの少ないと聞く投資信託についても教えてほしいです」 ※編集部注…5年の間に“利確”して手放した株も多数あるが、含めていない
【お悩みの論点】 ①配当金も株主優待もない塩漬けの株は損切りをしたくない、何か元を取る方法はないか? ②その方法があるとしたら注意点は何か? ③株式投資よりリスクの少ないと聞く投資信託についても教えてほしい
資産状況や月々の収入など
<収入> ・世帯の毎月の手取り収入: 50万円 ・手取りの年収: 600万円(ボーナス込み)
<資産形成のための支出> 毎月、手取り収入から…… ・5万円で株式の新規購入 ・3万円をiDeCoでの積立のために拠出 ・7万円を貯金に回している
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株式投資を始められて5年の堺さん。順調に売却益を確保できた銘柄がある一方、株価が下がって、含み損を抱えたまま、元に戻らないままでいる銘柄も多いとのことですね。
1つご提案できることとして「貸株制度」というものがありますので、そこから解説していきます。
貸株制度を活用して貸株金利を受け取る!
保有している株式について、貸株制度を活用して貸株金利を受け取る方法があります。
貸株制度を利用すると、保有している株式を証券会社に貸すことになり、さらに証券会社は機関投資家等が参加する貸株市場に貸すことになりますが、株式を貸した株主(個人投資家)はその貸出期間中についての貸株金利を受け取ることができることになっています。
これは貸し出した株式のレンタル料とも言えます。受け取れる貸株金利の利率は銘柄によって異なります。0.1%程度の銘柄もあれば、5%以上ある銘柄も、さらには10%ある場合もあります。
長期間含み損を抱え続け、しかも配当金も株主優待もない銘柄については、このままではただ保有しているだけという状態です。毎月貸株金利を受け取ることにより、多少なりとも利益を享受することができます。
貸株制度で貸し出し中の銘柄であっても、当該銘柄を売却したくなった時は通常の株式と同じく自由に売却できます。
さらに、配当金を受けられる銘柄を貸株として貸していたとしても、配当金相当額(源泉徴収後の受取配当金に相当)として受け取れることになっています。証券会社での設定次第では、配当金相当額ではなく配当金として受け取ることもでき、株主優待が設けられている銘柄についての株主優待を受け取ることもできます。