米国債の「価格」と「利回り」は逆に動く

現在、為替相場の変動を回避するコストを加味しても、米国債の利回りが日本国債を上回ってきた。利回りが高いなら、日本の投資家にとっても米国債は魅力的に感じる。一方で、米国債10年の利回りがさらに上昇するリスクを抱えてまで、購入に動く水準ではないとの見方もあるようだ。

なぜなら、国債の価格と利回りは逆の動きをするためだ。

例えば、利率(額面金額に対して毎年受け取る利子の割合)が1%のとき、国債を100万円分買う。その後、利率2%の国債が売りに出されるとする。すると利率2%の国債に人気が集まり、利率1%のときに買った100万円分の国債は買い手がつきにくくなる。(10年の償還期間を待たずに)何としても売りたい場合、満期になったら100万円で返ってくる国債を90万円まで値引きしてようやく買い手がつく状態になる。

そこで、先ほどの計算を思い浮かべてほしい。分母となる価格の値が小さくなれば、自ずと利回りは大きくなり、その逆も然りなのである。つまり、米国債10年の利回りが今より上昇すると、現在持っている国債の価格が相対的に下がってしまうリスクがあることを意味する。