2021年2月下旬以降、上昇傾向にある米国債10年の利回り。3月上旬には、2020年11月以来2倍となる1.64%近くまで上昇した。今後も利回りは上昇し、年内に2%に到達する見方もある。
日本の超低金利下で、相対的に魅力が高まっていると言われる米国債。特に長期金利のベースとなっている米国債10年の利回りについて、上がる要因や今後の株価への影響を見ていこう。
米国債の利回りが「上昇」すると、株価は「下落」する
そもそも米国債10年とは、10年後に満期が来て現金化できるタイプの国債だ。ニュースなどで耳にするアメリカの「長期金利」は、この米国債10年の利回りが指標(ベンチマーク)となっており、ローンや1年以上の定期預金の金利に、影響を及ぼすと言われる。
国債についても改めて説明しておくと、政府が発行し、信用度が比較的高いと言われる債券の一つだ。国が資金を調達する手段として利用される。「国債=国の借金」とも呼ばれる。「国債を買う」とは、国にお金を貸すことと同じで、いずれは利子がついて戻ってくる金融商品だ。
そんな国債の利回りは、分母に債券価格、分子にその利子と償還差益(購入価格と払い戻し価格の差)を置いて算出される。
簡単に言うと、価格に対し、どれだけの収益を上げているかを表した収益率の数値と言える。
それから、米国債10年の利回り、長期金利と株価の関係も見ていきたい。
景気のサイクルは大きく「景気拡大期」と「景気後退期」に分かれる。一般的に景気拡大期の初期から中期にかけて株価は上昇し、遅れて長期金利も上がる。その後、長期金利の上昇が株価の過剰な伸びへの抑止力となる。
とはいえ、実際には金利高=株安と認識されており、教科書的な説明の上では、株価と金利はシーソーの関係にある。その因果関係が一般に強く共有されているので、長期金利が上がると、株は売られやすく株価が下がりやすい傾向にある。