基盤となるコア投資、“趣味”のサテライト投資
長期で世界経済の成長の恩恵を受けながらじっくり増やしていくコア運用を柱とし、個別株のような、ある程度短期的な利益を狙う投資先資産・運用方法はサテライト運用として比較的小さな金額で投資をする。さらに、不測の事態に備えて現金を残していくのが基本です。
「投資」というと、多くの人はギャンブル的なものを想像すると思いますが、これはサテライト運用の典型です。投資対象を特定の企業に絞ってしまえば、比較的大きな利益が狙える反面、倒産や業績悪化で資金を減らすリスクも大きくなるからです。宮本さんの希望されている個別株への投資は、あくまでも資産のごく一部でトライするべき投資と言えます。
一方で、世界経済そのものが破綻することは考えられません。もちろん、価格の変動は起きますが、コアとなる世界分散投資では長期的な成長を目指し、相場を予測したり、目先のマーケットの動きに一喜一憂する必要はありません。じっくり保有しているだけでいいのです。ハイリスクなサテライト運用は、「コア運用だけではつまらない」と感じる人にだけ、趣味的な位置付けで少額でのチャレンジをお勧めしています。
宮本さんにこの方針を説明すると共感してくださり、1億1000万円の資金でコア・サテライト投資をスタートすることになりました。
内訳は柱となるコア運用に9000万円。1000万円は預貯金に置いておき、残りの1000万円をサテライト運用に充てることにしました。コア運用の9000万円は、6000万円を安定したリターンが期待できる債券に、残る3000万円は投資信託を活用した国際分散投資に振り向けました。
債券については、ソフトバンク、カナダの銀行、第一生命、三井住友海上の劣後債(倒産などの際の弁済を受ける優先順位は低いが、利回りは高い債券)を組み合わせ、年250万円(税引き前)の利息を得られるポートフォリオをつくりました。奥様と年2回ほど楽しまれている海外旅行の予算は1回当たり100万円ということなので、ちょうど税引き後でその費用を賄える計算です。
債券は値動きも安定しており、定期的な利金を受けられるメリットがある反面、複利効果はなく資産が成長する余地も大きくありません。そこで残りの3000万円では、高い成長が期待できる米国株を中心とした、外国株式に投資する3本の投資信託に分散投資しました。
そして、もともと希望されていた個別株投資は、サテライト運用として1000万円で国内株に挑戦することに。同じ日本株でも、投資信託で幅広く分散投資するならコア運用に入りますが、あくまで個別の企業の成長にベットするので、これはサテライト運用になります。
社会や経済に対する関心も高い宮本さんは、まさに「趣味としての投資」を楽しんでいらっしゃるようで、新聞やニュースを毎日チェックしては、気になる銘柄や成長が期待できそうな業界について時折意見を求めてこられます。そのたびに、投資に役立ちそうなデータや情報をお知らせしています。