ウォーレン・バフェット氏は11歳から株式投資を始めて、現在の資産額は714億ドル(約7.5兆円)とも言われる世界トップクラスの大富豪。「投資の神様」として知られ、書店にはバフェット本が並び、同氏の話を聴こうと米国・ネブラスカ州オマハにあるバークシャー・ハサウェイの株主総会には世界中の人が足を運びます。

そんな「オマハの賢人」バフェット氏の言葉には投資の知恵がたくさん。今回は、投資信託を中心としたコツコツ資産形成派の皆さんにも活かせる同氏の名言をご紹介します。

1「ゆっくり金持ちになりたい人はいないよ」

AmazonのCEOであるジェフ・ベゾス氏が「何でみんなあなたの投資戦略を真似ないのですか?」と尋ねた時に、バフェット氏が答えた言葉です。

株式市場では、短期間に巨額の利益を叩き出すスター・トレーダーや個人投資家が現れては消えていきます。また人間には長期の利益よりも目先の利益を優先する傾向にあり、「早く金持ちになりたい」という人間の欲がギャンブル的な投機に走らせ、失敗を招きます。

一方バフェット氏の投資戦略は、徹底的に調べて選んだ優良銘柄に長期投資するというシンプルなもの。同氏は、とくに”複利”を重要視しており、長期投資することで、その複利効果はとてつもないものになります。たとえば100万円の元本を年5%で運用すると1年目は105万円にしかなりませんが、10年で約163万円、20年で約265万円、30年で約432万円と運用期間が長いほど雪だるま式にお金は増えていくのです。

資産形成の王道は、長期投資して複利効果を狙うこと、つまり「ゆっくり金持ちになることですよ」と世界屈指の大富豪が身を持って証明しています。

2「自分に理解できないビジネスに投資しない」

バフェット氏は、サークル・オブ・コンピテンス(自分の得意分野の範囲内)を超えては投資を行いませんでした。たとえば、ハイテク株への投資は自分には深い理解がない、と長年投資してこなかったことでも有名です※。「私がコカ・コーラやジレットを理解するように、(マイクロソフトの創業者の)ビル・ゲイツ氏はハイテク株を理解する。私たちの(投資の)原則は、ハイテク株にも通用するものの、むやみに輪を広げることはしない」と述べています。

投資信託の中には、旬のテーマを扱ったものやオプションなどを使った複雑な仕組みのものがあります。投資対象がよく分からないのに「なんとなく儲かりそう」と購入してしまうと、大失敗することも。

自分が理解できないものに投資することは最大のリスクにつながります。裏を返せば、自分のお金で投資をする以上、投資先の内容は理解し、納得の上での購入が欠かせないと言えるでしょう。

※編集部注……アップル株を購入するなど、近年はハイテク株への投資も行っている。