「分配型投信」は“悪者”ではない

すると川端さんは、「娘は2人とも独立している。老後に迷惑をかけたくないので、将来介護が必要な状態になったら施設に入居したい」と言います。

一定水準以上の施設に入居するにはそれ相応の資金が必要ですが、川端さんはまだ55歳で、介護が必要になる年齢までには十分な時間があります。5000万円のうち3000万円は、長期の国際分散投資を目的とした当社のオリジナルファンドラップでじっくり成長させていくことにしました。

選んだのはリスク許容度が10段階あるうち、リスクの低いほうから4番目のタイプ。インデックスファンドとアクティブファンドそれぞれの長所を活かして、世界中の株式と債券に投資するものです。

インデックスファンドでは、低コストで先進国から新興国までをカバーすることが可能となります。一方、アクティブファンドは長期投資に専念しているファンドを採用しており、中長期で運用成果の改善が期待されます。また、このアクティブファンドの運用を担う運用会社は、2020年3月のコロナショックのようにマーケットが大きく下落するような局面で、投資家の不安を和らげ、状況の理解を手助けするようなさまざまなメッセージを発信してくれます。

残りの2000万円で購入したのは、分配型投信です。当社では会社設立間もない頃から、元本を削って過剰な分配金を出す「タコ足分配」を問題視しており、警鐘を鳴らしてきました。

ただ、問題なのは運用成果以上に分配金を出すことであって、分配金という仕組み自体は悪いものではありません。川端さんも「都度、自分で資産を取り崩すのは抵抗がある」と、分配を希望されました。そこで、タコ足分配はせず、運用成果に応じた適切な額の分配金を出す投資信託「楽天・インカム戦略ポートフォリオ・アルファ(愛称:みのたけ)」をお勧めしました。

この投資信託は、オリジナルファンドラップが投資対象としていないREITやハイイールド債券を主な投資先としているので、ファンドラップとは補完関係にあると言えます。彼女は海外旅行が趣味で、年に1度、50万円ほどの予算をかけて楽しんでいるというので、2000万円分保有していればちょうどそのぐらいの分配金が期待できます。