申請は早過ぎてもNG

「年金請求書が届いたから、早く提出しないと」とばかり書類を整えて意気揚々とすぐに窓口に出向いても、受理されない可能性が大です。というのも、法的に年金の受給権が発生するのは誕生日の前日で、それまでは請求を受け付けてもらえないからです。書類が届いてから提出まで約3カ月ものタイムラグがあると、大事な年金とはいえ、つい失念してしまいがち。年金請求書を受け取ったら、まずは提出日を確認したうえで、分かりやすい場所に書類を保管しておきましょう。その間に、受取口座となる金融機関を検討するとよいかもしれません。

前回の「『働いたら損』ではなくなる! 制度改正で変わる在職老齢年金の基準額」でお話しした「特別支給の老齢厚生年金」を受け取る際も、同様の手続きが必要です。

特別支給の老齢厚生年金の受給者が気を付けたいのは、65歳以降も手続き不要でそのまま年金が受け取れるわけではないということです。特別支給の老齢厚生年金と、65歳以降の老齢厚生年金とは別物ですから、切り替えの時点では改めて請求の手続きを行わなければなりません。

特別支給の老齢年金の受給者は、申請期間が短い

さらに、ここでも注意点があります。先ほど「支給開始年齢を迎える3カ月ほど前」に年金請求書が届くと書きましたが、特別支給の老齢厚生年金を受給中の人の手元に届くのは「65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの人は誕生月の前月の初旬)」です。これを「65歳になる誕生月の末日(1日生まれの人は誕生月の前月の末日)」に提出する必要があり、要は、あまり時間的余裕がないのです。特別支給の老齢厚生年金を受給後、間を空けずに65歳から老齢厚生年金を受け取る予定なら、早めに提出書類などを揃えておく必要がありそうです。