資産の大半が預貯金に偏りがちな日本に比べ、アメリカではみな投資に積極的で資産運用が進んでいるとよく言われます。しかしながら、実はアメリカの中でも投資に対する知識や姿勢にはかなりのバリエーション、つまり「格差」があるように感じています。

コロナ危機があらわにした、アメリカの「格差」

今回のコロナ危機はアメリカの格差社会をあらわにしました。人種においては、黒人の死亡率は白人やアジア人のそれに比べると約2.3倍。またニューヨーク州のデータですが、平均年収において最も低いレベル(数万ドル程度)の地域での感染率は、最も高いレベルの地域($10万以上)の2倍以上という差です。英語で“live paycheck to paycheck”という表現がありますが、低所得者層は手にした給料(paycheck)で生活を回すのに精いっぱいで、入ってきた給料はすぐ出て行き、次の給料をもらうまでお金の余裕などなく、健康保険に加入したり、ましてや貯金や投資などにはとても回せないという現実があります。

このような人々は健康保険がないため、普段の身体面でのメンテナンスもおろそかになりがちで、慢性化した持病持ちも多く、調子が悪いからといって仕事に行かねば収入が途絶えるから休めない。そのうえ、狭いエリアに密集して住んでいるので感染がすぐ広がる……ということになります。一方で、専門職に就いている高所得者層は、家でのオンラインワークにすんなり切り替えることができ、収入に大きな影響があることもなく、多少の不便はあるものの、生活がひっくり返るようなことはないまま暮らせています。