私はFP歴約10年、金融や保険を得意分野としています。普段はファミリー層を中心に、家計管理や資産運用の相談に対応することが多いです。そんな私が、今回のコロナショック時に実際にとった投資行動とそこで得た“手痛い教訓”についてお話します。

私のコロナショック前におけるおおよその資産は以下の通りです。

株式:約200万円 投資信託:約100万円(株式投資信託)、約30万円(債券に投資するタイプの投資信託) 債券(個人向け国債):100万円

私が株式と投資信託といった投資を始めたのは、約8年前のことです。初めて買った株式はある飲食業のもので、その後アベノミクスが始まったこともあり、値が急上昇。買値の2倍近くなった時点で売却しました。「株って面白い!」と思った私は、以降様々な種類の銘柄を買うようになり、気づけば常時10~15銘柄(執筆時点での評価額200万円)保有するようになりました。

株式とほぼ同時に始めたのが、投資信託の積み立てです。ある運用会社のセミナーに参加したのが始めたきっかけです。そこの社長の話がとても面白く、共感するものもあったので、すぐに申し込んで、以来コツコツ続けています。

私が投資を始めてから、ちょっとした金融ショックは起こりましたが、すぐに値を戻すことが多かったので、新型コロナウイルス感染症拡大の報道が出た当初は、まさかここまで大きな変動をもたらすとは想像ができませんでした。

3月中旬:急落を見てすぐに株と投資信託の買い足しを実行!

コロナの影響で日経平均株価が徐々に下がりだしたのが、2月下旬くらいだったと思います。3月に入り、ウイルスの感染拡大がより顕著になったと同時に、どんどん下がり始めた記憶があります。そしてついに3月12日には、日経平均株価が1万7000円台に突入。2月中旬までには2万3000円台だった日経平均株価があっという間に3割近く下がったのにはかなり驚きました。

しかし、裏を返せば相場が下がっている時は「買い時」とも読み取れ、こんなチャンスはめったにないとばかりに、株を購入する機会をずっとうかがっていたのです。そして3月16日、一時株価は1万6000円台に突入。その日、ついに私は「A社」の株式を一株あたり約2900円で100株購入しました。ちなみに、A社は販促・求人情報サービスに強みを持つ大手サービス業です。

実はA社の株式は、1年前くらいから様子を密かにうかがっていたものでした。値が上がっていた時は1株4500円くらいの株で、100株だと約45万円。「もう少し下がったら買おう」と思っていたこともあり、一株約2900円で買えた時は、正直なところ「ラッキー」と感じたのでした。

同じ時期、実は株のほかにもこの2本の投資信託を購入していました。投資信託は、スポットで2回に分けて購入。1回目は3月3日に、それぞれのファンドを5万円ずつ、さらに3月13日に、それぞれ3万円ずつ購入しました。あえて2回に分けて買ったのは、分散投資のためです。

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4月上旬:しかし、さらに相場は落ち続け…資産全体の含み損は100万円に

狙っていた株が安く購入できて、意気揚々としていた私。ところが購入した翌日(3月17日)のA社の株価(終値)は1株約2700円。1日で200円も下がってしまったのです。100株なので、マイナス2万。その翌日以降も下がり続けました。

相場の格言に「落ちてくるナイフはつかむな」というのがありますが、私の行動はまさに落ちてくるナイフを素手でつかんだことに等しいのだと直感しました。証券会社のホームページで自分の資産状況を見るたびに憂鬱になり、「こんなことなら買わなければよかった」と後悔すらしていました。当然ながら、既に保有していたA社の株式以外のものも軒並み下落。4月に入るとさらに追い打ちをかけるように値は下がり続け、4月上旬にはA社の株式におけるここ最近の底値である、1株2350円まで落ちてしまったのです。

「短期的な値動きを気にしてはいけない」と何度も自分に言い聞かせました。しかし、資産全体の含み損が100万円近くなった時には、「もう株式なんてまっぴら」と思うほど意気消沈したのでした。いくら頭で分かっていても、大きなマイナスを目の前にしてなかなか冷静沈着にはなれないと実感しました。

価格が落ちたのは投資信託も同じです。日々の変動はありましたがマイナス20%くらいを推移している状態でした。

投資信託についてはもう1回くらいスポットで購入しようと考えていたのですが、3月の上旬に買った投資信託がどんどん値下がりするのを目の当たりにして、これ以上損失が大きくなってしまうことを恐れ、いったん様子を見ることにしました。