フランス発の円高、その背景と投機筋の動向
今週は22日(木)以降、フランスの長期金利の対独スプレッドが大幅に拡大しました(ページ4)。
この影響を受け、為替市場でも22日の欧州時間に入ってから、ユーロ円の下げ幅が拡大し、ドル円も連れ安となりました(ページ5)。
投機筋の円の持ち高を確認すると、ヘッジファンドを含むレバレッジドファンド勢が10月13日時点で約3万枚の円ショートとなっていました(20日時点では約2.3万枚に縮小)。従って、ユーロ円の下落を受けて、足元では円の買い戻しが続いていると考えられます(ページ6)。
円高持続への疑問符:金利差と実質金利の現状
ただ、買い戻し一巡後も円買いが続くか、以下の2点から疑問です。まず、2年物国債の利回りでみた海外との金利差は、対米国、英国、ユーロ圏(ドイツ)では年初よりも拡大しています。対スイスなど金利差が(円高方向に)縮小した国(通貨)もありますが、対主要通貨では依然として金利差の縮小までは見込みにくい状況です(ページ7)。
次に、円安の主因と考えられる日本の短期の実質金利(=政策金利-消費者物価指数)は依然としてマイナス圏に位置しています。もちろん、今後も利上げが続く見通しですが、本日発表された9月の消費者物価指数も前月から伸びが拡大しています。当面、原油高などの影響を受け、インフレ率も上昇すると見込まれ、実質金利のマイナス幅の縮小やその先にあるプラス点まで見通しにくい状況です(ページ8)。
ドルは底堅さを維持か?ユーロの軟調に注目
今週は、米国の長期金利が大幅に低下したことを受け、総じてドルは軟調に推移しました。ただ、各国の長期国債の価格の変化率を見るとフランス債が大幅に下落し、イタリア債も軟調に推移した一方、主要国の中では米国債が最も上昇しました。その裏返しとして長期金利が低下したのであり、今週のドル安は米国にとって必ずしもネガティブな動きではありません(ページ9)。
ドル指数も第二次トランプ政権誕生後のレンジである96から102の高値圏を維持しています。しばらくの間、ユーロの軟調な値動きが見込まれ、このままドルが続落する可能性が高いわけではないでしょう(ページ10)。
ユーロ円175円の攻防と周辺国への波及リスク
その点、来週も引き続きユーロ円の続落に要注意です。2022年以降のユーロ円を振り返りますと、ドル円が162円目前で続伸を阻まれた2024年の夏場、ユーロ円も175円近辺でいったん上値を抑え込まれ、反落しました。その後。昨年秋の高市政権発足前後でその175円を上抜けした結果、ユーロ円の上昇も勢いづきました。従って、反対のこの175円を割り込んだ場合、やや下落が加速するおそれもあり、その影響はドル円にも及ぶでしょう。フランスを巡っては、暴徒化したデモの収束が見えておらず、議会での予算審議も難航必至と言え、当面、警戒が必要です(ページ11)。
また、今後は周辺国への波及にも要注意です。足元ではイタリアおよびスペインの長期金利の対独スプレッドも拡大傾向にあります。ただ、水準としてみればまだ低位にとどまっており、足元では周辺への波及は限定的です。このためユーロ円が175円を割り込んだ場合も1~2円下がったところでは下げ渋る可能性が十分でしょう(ページ12)。
主要中銀会合の見通しと日銀の「目標到達」判断の衝撃
来週はFOMC、ECB理事会、日銀の金融政策決定会合と続きますが、いずれも据え置きでしょう。この内、米国については前回の動画でご紹介した7-9月期の共通期待インフレ指数が、前期からやや低下していました。この為、ウォーラー理事やニューヨーク地区連銀のウィリアムズ総裁らの発言の通り、追加利上げを視野に入れつつも、一旦10月は様子見となるでしょう(ページ13)。
では来週のポイントです。ユーロ円が175円を割り込んだ場合、ドル円も155円台まで連れ安となりそうです。注目はフランス長期金利の対独スプレッドの拡大と周辺国への波及の有無です。その際、ドルは堅調な米国債(長期金利の低下)に下押しされるものの、原油高とユーロ安を支えに底堅さも維持すると考えられます(米国にとって原油価格の高止まりは貿易収支の改善要因となり、ドル高に作用)。また、足元ではVIX指数も19台とやや高く、市場がリスク回避的となっています。この為、円の買い戻しも続くとみられ、ドルと円がともに底堅く推移しそうです。その結果、相対的にみれば、他通貨が軟調に推移することから、クロス円の下げ幅が広がると考えられます。足元でもメキシコペソ円などは高値から大幅に下落しており、要注意です。
FOMCについてはすでに市場も据え置きを見込んでおり、ウォーシュ議長の会見と合わせ、波乱なく通過すると考えられます。一方、日銀については要注意です。政策金利の据え置きが見込まれるものの、次回の会合で基調物価が目標に到達したとの判断が示された場合、四半期毎の利上げが当面の間、続くとの見方が強まりそうです。現在、マーケットは6月末までに2.3回の利上げしか織り込んでいません。つまり、12月、3月、6月の内、いずれかの1回の会合では利上げが見送られる可能性が高いと予想しているのです。それだけに、「目標到達」との判断が示された場合、市場も6月までの3回の追加利上げを織り込むとみられ、その過程でドル円も155円を割り込む可能性が高いでしょう。一方、到達判断を先送りする場合、日銀会合も特に波乱なく通過すると考えられます(ページ14)。
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