最大の成長余地は海外市場

東宝のもう一つの成長軸が海外展開です。

日本のアニメやキャラクターは世界で認知を広げていますが、海外で人気が出ることと、日本企業が十分な利益を得ることは同義ではありません。

海外の配給会社や配信プラットフォームに権利を渡すだけでは、日本側に残る利益が限られる場合があります。

東宝は海外販売や権利運用を担う企業の買収などを通じ、現地で収益を回収する機能の強化を進めています。

自社IPを持ち、自ら制作に関わり、海外で配給・配信し、関連商品まで販売できれば、世界的なIPビジネスへ発展する可能性があります。

現状では海外売上高比率は1割程度とされ、伸びしろは大きい一方、現地ネットワークの構築や競合との権利獲得競争には注意が必要です。

東宝株が高いPERで評価される理由

東宝のPERは収録時点で約32倍と、一般的な成熟企業に比べて高い水準です。

市場は、足元の映画ヒットだけでなく、IP、アニメ、海外という成長ストーリーを一定程度織り込んでいると考えられます。

強気に評価できる材料は、邦画市場の活況、固定費型ビジネスによるヒット時の高い利益貢献、毎年の集客を期待できる人気シリーズ、自社IPの強化、アニメ制作領域への進出、海外収益化の余地です。

とりわけ、複数の収益経路を自社内に取り込む戦略が進めば、業績の予測可能性と収益性が同時に改善する可能性があります。

一方、高いPERは期待の裏返しでもあります。

IP戦略や海外展開が想定どおり進まない場合、利益が伸びていても評価倍率が低下し、株価が下がる可能性があります。

現在の株価にはどの程度の成長が必要なのか、将来利益から逆算して確認する視点が欠かせません。