市場価格には資産の価値「以外のもの」も乗っている
では逆に、毎日動く上場商品の市場価格は、資産の実力を正確に反映しているのでしょうか。
これは、半分イエスで、半分ノーだと私は考えています。
市場価格とは、突き詰めれば「その瞬間に売りたい人と買いたい人が合意した値段」です。そこには、資産が将来生み出す収益の見通しだけでなく、その時々の需給や市場心理が色濃く反映されます。
分かりやすい例が、2020年春のコロナショックです。東証REIT指数は、2020年2月20日の2,250.65ポイントから、わずか1カ月後の3月19日には1,145.53ポイントまで、半値近く(約49%)下落しました(出所:東京証券取引所「Jリートガイドブック」)。
では、REITが保有するオフィスや住宅の賃料収入が、ひと月で半分になったのでしょうか。そんなことはありません。先行きへの不安から「とにかく今すぐ現金化したい」という売りが殺到し、価格が資産の実力から大きく乖離(かいり)した——そう見るのが自然でしょう。
ここに、「いつでも売れる」ことの、もう1つの側面があります。
いつでも売れる商品を持つことは、「他人の売り買いの都合」による値動きを引き受け続けることでもあるのです。
前回お伝えしたのは、「いつでも売れる商品には、『不便さの対価』が乗らない」ということでした。これは、リターンの面での話です。
今回、そこにもう1つの側面が加わります。いつでも売れる商品には、毎日値段がつく。そして、毎日つく値段には、資産そのものの実力だけでなく、その日その日の市場心理までもが映り込みます。
つまり、「いつでも売れる」を選ぶことは、追加のリターン(不便さの対価)を手にしないことに加えて、市場心理による日々の値動きと付き合い続けることでもある——この2つを、セットで考える必要があるのです。
