我慢の限界…妻が突き付けた離婚協議書
週末、たまたま帰省していた娘・恵美と由紀子をリビングに集め、和彦は自作した「定年後の資金・セカンドライフ計画書」を二人の前に広げた。
「いいか、退職金2500万のうち1000万は運用に回し、残りでキャンピングカーを買って全国を回る計画だ。恵美も休みの時はなるべく参加しなさい。これからは完璧なセカンドライフを楽しもうじゃないか」
完璧な計画のつもりだった。だが、言い終わるか終わらないかのうちに、恵美が乾いた笑いを漏らした。
「お父さん、いい加減にしてよ」
恵美の目は軽蔑に満ちていた。
「家庭を放置してきたくせに、今さら仲良しごっこ? お母さんがこれまで一人で家を守ってきたのに、定年して暇になった途端に上司気取りで口出しばかりして……」
「な……何を言っているんだ。俺は家族のために……!」
反論しようとした和彦の言葉を、由紀子の冷ややかな一言が遮った。
「私、ずっと前から弁護士さんに相談していたの。これ、離婚協議書です」
テーブルに置かれた紙には、和彦の名前以外のすべての項目が、妻の几帳面な字で埋め尽くされていた。
●家族と理想の老後を送るはずが、妻からは離婚協議書を突き付けられてしまう――。夫婦のその後はどうなったのか? 後編【「息が詰まって倒れそうなの」妻に離婚協議書を突き付けられ絶望…60歳男性が選んだ「起死回生の一手」】で詳説します。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
