夫が突き付けた究極の決断

そこへ仕事を終えた健太が帰宅した。玄関で靴を揃え、リビングの異様な空気に気づいた健太は、母親の姿を見るなり顔をしかめた。

「もう勘弁してくれ! 結婚は俺が考え抜いて決めたことだって前に伝えたよな? なんで俺の留守中に押し掛けてるんだよ……。頼むから俺の大切な人たちを傷つけないでくれ」

そしてまっすぐにフミ代の目を見ながらこう続けた。

「今後もこんな風に迷惑をかけ続けるなら、もう二度と連絡も取らないし、実家に帰らない。完全に縁を切る。分かったら今すぐ出て行ってくれ」

普段は優しい息子のあまりに強い拒絶と怒りに、フミ代は絶句した。次第に現実を理解したようで、がっくりと肩を落とし、呆然としたまま立ち去っていった。

それから2年。

私たちは静かな住宅街で、穏やかな結婚生活を送っている。

健太の40代からのマネープランと私の資産、そして葵の教育資金。もちろん全く不安がないわけではない。だが、ファイナンシャルプランナーのアドバイスを受けながら「家計の見える化」を図り、お互いに無理のない範囲で将来に備えている。

「パパ、今日の宿題教えて!」
「いいよ、どれどれ?」

3人ならきっと大丈夫。リビングで楽しそうに笑い合う葵と健太を見つめながら、私はあたたかいお茶を口にする。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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