夫が妻に持ちかけた提案

夜の11時を迎えて、佳織は寝室で寝る準備をしていた。すると、寝室に入ってきた翔太が声をかけてきた。

「これからさ、お金の管理、佳織にお願いできないかな?」

「え? なんで?」

佳織は驚いてすぐに聞き返した。

「いや、今回のことでいろいろと考えたんだ。裕久のために30万を貸したけどさ、あのお金って俺たち家族のお金なんだよな。俺たちの生活とか大輝の将来のためのお金なのに、それを俺は簡単に貸しちゃって……」

「……もう貸さないって約束してくれたら、それでいいわよ」

翔太は首を横に振った。

「目の前で困った顔をされると、俺は貸してしまうかもしれない。だから俺はお金をあまり持たないほうがいいと思うんだ」

翔太の提案に、佳織は少し考えてからうなずいた。

「……分かった」

翔太の考えには一理あったし、家族のために翔太が決めたことならば尊重したかった。

「でもお金のことで困ったことがあったら、私も相談するからね。大事なことはちゃんと2人で決めていこ」

「もちろん。佳織だけに押しつけるつもりはないから」

今の翔太の言葉に嘘はないと佳織には分かった。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。