成長性に懸念、PBR1倍割れ ビジネスモデル転換も、本格成長は持ち越し
短期で株価が反発しているとはいえ、PBR(株価純資産倍率)は0.90倍と、目安となる1倍を下回る状況です(26年7月21日終値)。
さらなる株価の上昇には、長期に収益力を回復できるかが焦点となるでしょう。進行期である27年3月期のV字回復はリストラ効果によるところが大きく、来期(28年3月期)に減益を予想するアナリストのコンセンサス集計もあり、市場は今後の成長に懐疑的です。
帝人は26年5月に、29年3月期を最終とする新しい中期経営計画を発表しました。前中計の財務目標が未達に終わった反省を踏まえ、素材型ビジネスから課題解決型ビジネスへの転換を目指す内容です。単に機能の高い部材を提供するのではなく、顧客の用途から逆算することで提案力を強化し、利益の成長を図ります。
提案力の強化に向け、統合シナジーの発現も急ぐ考えです。商社子会社の帝人フロンティアは同業の旭化成アドバンスと経営統合を進めており、帝人が80%を握る新会社(TAフロンティア)が26年10月に発足する予定となっています。売上は25年3月期の単純合算で4400億円規模と繊維商社としてトップクラスであり、統合により手薄な領域を互いに補完し、30年前後に5000億円規模の売上を目指しています。
しかしながら、当面の利益成長は引き続きリストラが中心です。事業利益は26年3月期の258億円から、29年3月期に600億円まで拡大する目標ですが、増益分のうち200億円は構造改革が占める計画です。アラミド繊維や炭素繊維は人員削減を視野に入れたコスト削減を進めるほか、医薬品は希少疾患・難病領域における在宅医療を中核に据え、品目を絞り込みます。
中計期間中は1850億~1900億円の成長投資を計画するものの、成長のけん引役は見えづらい状況です。概観すると、今回の中計はビジネスモデルの転換を進める投資期間という位置づけであり、本格的な利益成長は次の中計に持ち越される模様です。