看板「スーパー繊維」が大苦戦で赤字連発 今期20年ぶり営業益700億円

株価が長期に下落した背景には、業績の低迷があります。

帝人はアラミド繊維や炭素繊維といった「スーパー繊維」に強みがあります。特にタイヤ補強材や防弾チョッキなどに使用されるアラミド繊維は、米デュポン社に次ぐ世界2位のシェアを持つ有力企業です。

しかし、その看板商品は近年、苦戦が目立っていました。中国勢や韓国勢といった競合の台頭などから収益性が低下。アラミド繊維などを含む「マテリアル」セグメントは、26年3月期までの2期連続で600億円を超える減損損失を計上しています。

この間、「ヘルスケア」セグメントでも200億円超の減損が続きました。21年に武田薬品工業から買収した糖尿病治療薬の販売権について、価格の下落およびシェア低下が継続し、資産の取り崩しを余儀なくされた格好です。

これらの減損損失は、主に売上原価および販管費に計上され、全体の営業利益を圧迫しました。帝人は23年3月期に前期比70.9%の大幅な営業減益となり、翌24年3月期には営業赤字に転落していました。そこから上述の減損が続いた結果、直近の26年3月期まで3期連続の営業損失に沈んでいます。

この打開を目指し、帝人は不採算事業の切り離しを断行します。「めちゃコミック」などのインフォコムを売却しIT事業を非継続事業に整理したほか、複合成形材料の北米事業からも撤退しました。これらの結果、1兆2000億円を超えていた総資産は3年間で9200億円まで痩せ、従業員数も同期間に2万2484人から1万5689人まで減少しています。

帝人の財務(2016年3月期~2026年3月期)
 
出所:帝人 決算短信より著者作成
 

構造改革の甲斐もあり、今期(27年3月期)はV字回復の見通しです。多額の減損損失は償却費の圧縮につながり、予想営業利益は700億円と、4期ぶりに黒字に復帰する計画です。これは国際会計基準に移行後で最高、日本基準07年3月期(751億円)以来となる水準です。

帝人の業績(2016年3月期~2027年3月期)
 
出所:帝人 決算短信より著者作成
 

このように、業績のボトムからは脱した状況にあります。足元の株価上昇は、これが評価されたものと考えられます。