異なる年に確定拠出年金を一時金受取りしたケース

では、異なる年に確定拠出年金を一時金受取りしたケースについて見てみましょう。

ここでの前提としては、退職するまでは企業型DCに加入し、退職後はiDeCoに加入して企業型DCをiDeCoに移管することにしています。

異なる年の場合は、①退職一時金が退職所得控除額以上のケースと、②退職一時金が退職所得控除額未満のケースでは計算方法が異なります。

①退職一時金が退職所得控除額以上のケース

例えば、下図のように勤続年数29年6カ月の人が、退職した年に退職一時金1,800万円、退職してから2年10カ月後にDCの老齢給付金を一時金で500万円受け取るケースについて計算してみましょう。(勤務期間と加入期間の重複期間は21年)

(退職一時金) 【★】と同じ
退職所得控除額=40万円×20年+70万円×(30年-20年)=1,500万円
課税退職所得金額=(1,800万円-1,500万円)÷2=150万円
所得税=150万円×5%×102.1%=約7.7万円
住民税=150万円×10%=15万円
所得税+住民税=約22.7万円

(DCの老齢給付金の一時金)
退職所得控除額=【DC加入期間】(40万円×20年+70万円×(24年-20年))-【勤続期間との重複部分】(40万円×20年+70万円×(21年-20年))=210万円
課税退職所得金額=(500万円-210万円)÷2=145万円
所得税=145万円×5%×102.1%=約7.4万円
住民税=145万円×10%=14.5万円
所得税+住民税=約21.9万円

退職一時金と DCの老齢給付金の一時金を異なる年に受け取ると、税金は上記の合計額の約44.6万円(=約22.7万円+約21.9万円)となります。

【異なる年に退職一時金と確定拠出年金(iDeCo)を一時金受取り(退職一時金≧退職所得控除額)】

 

② 退職一時金が退職所得控除額未満のケース

例えば、下図のように勤続年数29年6カ月の人が、退職した年に退職一時金1,200万円、退職してから2年10カ月後にDCの老齢給付金を一時金で500万円受け取るケースについて税金額を計算してみましょう。(勤務期間と加入期間の重複期間は21年)

(退職一時金)
退職所得控除額=40万円×20年+70万円×(30年-20年)=1,500万円
課税退職所得金額=(1,200万円-1,500万円)÷2=0円
所得税、住民税は非課税

(DCの老齢給付金の一時金)
退職所得控除の計算期間=(1,200万円-(40万円×20年))÷70万円+20年=25年(切り捨て)
退職所得控除額=40万円×20年+70万円×(24年-20年)-(40万円×重複部分17年)=400万円
課税退職所得金額=(500万円-400万円)÷2=50万円
所得税=50万円×5%×102.1%=約2.6万円
住民税=50万円×10%=5万円
所得税+住民税=約7.6万円

【異なる年に退職一時金と確定拠出年金(iDeCo)を一時金受取り(退職一時金<退職所得控除額)】

 

ここでのポイントは、退職所得控除の期間の計算においては、重複期間はダブルカウントされませんが、DC加入期間のみであっても退職所得控除の期間の対象となることから、例えば、60歳で退職一時金を受け取った後もiDeCoの加入者として掛金を拠出していれば、退職所得控除のメリットを受けることができるようになるということです。

いかがだったでしょうか?

退職一時金をDCの老齢給付金の一時金よりも先に受け取る時の「19年ルール」と、DCの老齢給付金の一時金を受け取った後に退職一時金を受け取る時の「10年ルール」によって、多くの方が勤続期間とDC加入期間の重複期間については退職所得控除が利用できなくなりました。会社員にとって、退職後はiDeCoに加入して、退職一時金とは異なる年にDCの老齢給付金を一時金で受け取るメリットは大きいと考えられます。

(執筆 : 花村 泰廣)