ローン返済と資産形成、両立できているのか
もう一つの重要な視点が、「住宅ローン返済と資産形成の関係」です。三大都市圏では、「住宅ローンを返済しながらも資産形成に取り組んでいる」と回答した世帯が過半数に達しています(図表5)。住宅価格や借入額が高い都市部においても、返済と並行して貯蓄や投資を進めている世帯が多い点は特徴的です。
一方で、その他地域では、住宅ローンの返済を優先する傾向が相対的に強く見られました。返済比率自体には大きな差はないものの、「余裕を資産形成に回すか、それともまずは返済に充てるか」という判断に違いがあると考えられます。
この違いは、単に収入や物価の差だけではなく、将来への備え方やリスクの取り方といった価値観の違いも反映している可能性があります。
【図表5】エリア別 返済と資産形成の両立状況
※回答者:住宅ローン返済中かつ2021年以降に住宅購入、返済と資産形成の両立「この中にはひとつもない」回答除く
「一般的な正解」に頼りすぎないこと
ここまで2回のコラムで見てきた通り、住宅購入や住宅ローンの選び方には地域差が存在します。ただし、それは優劣の差ではなく、それぞれの地域における前提条件の違いから生まれるものです。
住宅購入をめぐっては、ペアローンや超長期ローン、金利動向など、さまざまな情報があふれています。こうした情報は参考になりますが、他人の事例や一般論に引きずられすぎると、自分の家計やライフプランに合わない判断につながるおそれもあります。
一方で、「自分には関係ない」と情報を遮断してしまうと、判断に必要な材料そのものが不足してしまいます。
住宅ローンは長期間にわたる選択です。だからこそ、その時々の条件だけで決めるのではなく、自身の家計やライフプランと向き合いながら、「無理のない状態が維持できているか」を定期的に確認していくことが重要です。
本調査が、住宅購入や住宅ローンを考えるうえでの一つの視点となり、より納得感のある選択につながれば幸いです。
(三井住友トラスト・資産のミライ研究所 桝本 希)

