海水淡水化や工場内水循環で水を有効活用、統合的水資源管理も課題解決の一手に

持続可能な水資源確保について考えたいと思います。同テーマを取り上げたきっかけは、長期的にその確からしさについて考察すべきと考えた為です。足元において、より急速に需要が増しているデジタル化、特にAI活用の進展によって、その実現のためのインフラニーズとして、データセンター建設や半導体工場建設等が盛んになっています。これらの工場建設では大量の水が消費されます。また、執筆時点(9月2日)では様々な異常気象により国内外問わず水を起因とした自然災害(人災と言えるかもしれません)が起こっています。今後の水資源の需要供給についてみていきたいと思います。

まず、水資源の供給側についてみてみると、淡水は地球全体の2.5%に過ぎず、残りの97.5%は海水です。その淡水を100%とした際の水源は氷河等の氷由来が約70%弱、次に地下水が約30%、地表水が約1%程度と分類されています。地理的には、全世界に均衡にこれらの水源が分布しているわけではないという難しさもあります。

次に、水資源の需要側についてみてみると、用途分類として農業用約70%、工業用約20%、生活用約10%です。OECD(経済協力開発機構)等の資料によると、冒頭で課題として挙げた工場建設ラッシュに伴う工業用の需要は今後2050年までにかけて用途分類の中で平均成長率が最も増加するとみられています。生活用についても新興国での人口増加で次いで平均成長率が増加します。一方で農業用は人口増加による食料需要の増加はあるものの節水などの技術進化により成長ペースは緩やかとなります。

このような需要供給の様々な側面から、長期的には供給よりも需要が超過するというギャップが起きる想定となっています。その課題解決の為には技術面では海水淡水化は日本企業の存在感は強いものがあります。また工業用水は完全に工場内で循環させる取り組みもされています。同時に水資源を有効利用するインセンティブ(適切な価格設定)を与えることが、より技術的なイノベーションを促進し日本企業の活躍機会になるかもしれません。制度・ガバナンスの観点からは、先進国(豪州や欧州)での統合的水資源管理の成功事例を、今後人口増加と経済発展が著しくなるアフリカ等の地域において、予見的に導入されていくことが重要だと感じます。

つまり、需要側では主に技術進化による水資源の利活用の課題解決が可能で、ビジネスチャンスにできる余地さえあると感じます。一方で、供給側では自然災害のみならず、森林土壌に蓄えられた水が無理なくその機能を最適化する役割も失われつつあるのだと感じています。放置林の増加、動物による被害、昨今の豪雨の頻発等です。まずその事象を机上、実地で知ることから始めなければいけないのだと分かりました。余談ですが、乾燥地帯(砂漠地帯)においては霧から水分を捕集する技術などもあるようです。これらの課題解決には国の予算、企業の自分事化(ビジネス化やボランティアを含む)が必要になります。8月31日、日本の国家予算の2027年度概算要求が示されました。経済産業省の予算ではエネルギー政策や成長分野への予算は増加基調である一方、水資源の確保・運用等に直接的に関係する予算を見つけづらかったのが現状です。詳細確認はこれからとなりそうですが、水資源確保についての理解とその重要性のステージをもう1段、2段と上げていく局面にきているかもしれません。

そのために、我々も投資家の立場として企業との対話で常に問いを続ける必要があると感じた次第です。