イランと米国の戦闘はほぼ止まっているものの、停戦交渉の再開は見通せない状況です。こうしたイラン情勢は、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ホルムズ海峡を通過するタンカーは封鎖されているわけではありませんが、原油やナフサが再び値上がりし、インフレが再燃する可能性があります。今後の行方を考えるうえで、カギを握るのは原油価格です。

 

イランへの2次制裁で中国にも停戦協力を要請、原油価格の落ち着きで春の原油高による値上げは一服の見込み

8月下旬に米国はイランに対し新たな経済制裁を課す方針を発表しました。これは強力な制裁です。特に重要なのが2次制裁です。これは直接的にイランに対し制裁を課すのではなく、イランと取り引きする第3の国や企業・団体を対象にする制裁です。

なぜ2次制裁が必要になったのか、分かりやすい例はドローンです。イランからのドローン攻撃で米国の軍艦や中東にある米軍基地、さらには同盟国のエネルギー生産基地などが相当な被害を受けました。このドローンの原材料や技術支援などをした第3の国や企業を締め付けるのが2次制裁の眼目です。

報道では米国は中国を標的にしていると指摘されています。とはいえ米国と中国は関係改善を模索しています。今年5月にはトランプ大統領が訪中して米中首脳会談が行われました。年内にも複数回の米中首脳会談が予定されています。こうした背景から米国によるイランへの新たな制裁は停戦に向けた中国への協力の要請の意味合いがあると見られています。

停戦に向け現実的な落としどころを体現するのが原油価格です。2月の米国によるイラン攻撃の前、WTI原油価格は1バレル当たり約60ドルでした。その後は4月頃の激しい戦闘の時期には約110ドル、7月ごろには停戦への期待から約70ドル、それが最近は85ドル近辺で推移しています。抜本的な解決には程遠いものの、緊張感が極端に高いわけではない状況です。

原油価格がこの水準であれば、今後の新たな値上げの要因にはなりにくいと思います。この10月以降には相当数の値上げが予定されています。この原因は主に今年の4~6月期に原油価格が100ドルを超えた影響がタイムラグを置いて川下に降りてきたことです。例えば、食品トレーなど石油化学製品の価格が大きく上がった影響などです。

しかし、その後については、とりあえず一旦は落ち着く可能性が高いと思います。ガソリン価格についても、1リットル当たり170円程度に抑える措置の継続を高市政権は決定しています。

 

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