じわじわと人気を上げる「モメンタムファンド」と、現在の市場の“気持ち悪さ”
次なるトピックとして挙がったのが、資金流入ランキングでもじわじわと順位を上げ、人気が高まっている三井住友トラスト・アセットマネジメントの「トレンドランキングシリーズ(SMT モメンタムファンド)」です。篠田氏は「非常に今のマーケットに合っている」と評価します。
「マーケットのモメンタム(相場の勢い、順張り)を捉えながら短期、中期、長期で組み入れ銘柄を調整していくタイプですけれども、まさに今ホットな銘柄がタイムリーに入ってくるので、自分ではその判断ができないという方にはおすすめです。また、モメンタムを捉えようとすると起こりがちなのは、特に日本株、その中でも半導体のような値がさ株は単元で取引しようとすると大変な金額になってしまうこと。しかしモメンタムファンドであれば、そうした銘柄を複数で、いわば“まるっと”投資できるので、ミーハーな方にもぴったり。テーマ投資とはまた違う、ある種トレンドを取りに行く――これも投資のスタイルです。いろいろなマーケットのモメンタムファンドが出ていますけど、面白いと思っています」(篠田氏)とコメント。
一方で、海老澤氏はモメンタムがかつてはアノマリー(一般的な市場理論では説明できないが、経験的に観測できる市場の規則性のこと)とされていたが、CAPM(「市場平均にどれだけ連動するか」を基準とする代表的な理論)の発展により、複数のファクターが付け加えられていく中で、モメンタムもファクターの1つとして認められてきた点を解説。そのうえで、クオンツ運用(数学的モデルや統計学を駆使して、市場を定量的に分析して投資判断すること)が主流となった現在の市場環境に、一石を投じます。
「私自身も篠田さんと同じようにモメンタムファンドは面白いファンドだと思っています。ただ、最近はAIなどを使った運用が主流になり、様々なファクターのアラートを検知して機関投資家が儲けるような、クオンツ的な動きが強まっています。そこで少し引っかかるのは『そうやって形作られるマーケットは、本当のマーケットなのかな』ということです。投資には人間の日常的な気づきや喜び、感情がヒントになる面もあると思うんです」(海老澤氏)
それに対し篠田氏も「クオンツ的な動きで価格形成がなされる今の相場に対し、個人投資家も含めて、市場参加者の誰もがどこか『気持ち悪さ』を感じているのではないでしょうか」とコメント。さらに「足元は期待が先行しすぎて、実態と市場の評価がだいぶ乖離している状況です。ただ、そこを上手く捉えるという発想転換ができる方はモメンタムファンドを見ればいいし、よく分からないという方は無理に見る必要はないと思うんです。もっとご自身で納得感のあるテーマ型やオーソドックスなアクティブファンドなどを見ると良いと思います」と、投資家それぞれのスタンスの重要性を語りました。
――そしてお二人のトークはファンドマネジャーが銘柄選定を行うジャッジメンタルファンドの意義や魅力へと続いていきます。ぜひ全編通してお聴きください。
篠田 尚子氏(楽天証券客員研究員 ファンドアナリスト)
日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。
海老澤 界氏(松井証券 シニアファンドアナリスト)
長年、投資信託について運用、販売、マーケティングなど多面的にウォッチ。投信アワードの企画・選定にもかかわる。
