障害基礎年金が入ればなんとか生活は成り立つ

そこまで話が進んだところで、美知子さんは質問をしてきました。

「もし兄が障害基礎年金を受給できたとすると、いくらくらいになるのでしょうか?」

「障害基礎年金は1級と2級があります。発達障害などの精神障害で1級になることはまれなので、仮に障害基礎年金の2級に該当した場合でその金額を確認してみましょう」

障害基礎年金 7万608円
障害年金生活者支援給付金 5620円
合計 7万6228円
※いずれも2026年度の金額で月額換算

「無職の兄にとって、月額約7万6000円はかなり助かります。このお金と母の年金と合わせれば、貯蓄の取り崩しも緩やかにできそうです。あとは……」

家事ができない兄が使える「無料サービス」とは?

美知子さんは顔を曇らせ、さらに不安を口にしました。

「兄は炊事や掃除洗濯などの家事がほとんどできません。いくら教えてもまったく駄目でした。もし母にも介護が必要になって、母が兄の面倒をみることができなくなったら、兄の日常生活は成り立たなくなってしまうかもしれません。何かよい方法はご存じないでしょうか?」

「そのような状況になったら、ホームヘルプサービス(精神障害の方向けの居宅介護)を受けることも検討してみましょう。主なサービスは次の通りです」

・食事の用意や調理、掃除、洗濯などの家事支援
・服薬管理のサポート
・通院や行政手続きの際の同行 など

美知子さんは驚きの声をあげました。

「かなり充実した支援が受けられるのですね! でも、月額利用料はかなりかかるのではないでしょうか?」

「住民税が非課税の方なら利用料は無料です。ちなみに障害基礎年金と障害年金生活者支援給付金は非課税収入になります。お兄様が働いていないようであれば非課税者になるので、利用料は無料になることでしょう」

「そうなのですね。無料というのは大変助かります。ホームヘルプサービスを利用するために、何か必要なものはありますか?」

「まずは精神障害者保健福祉手帳が必要になります。手帳の申請は、初診日から6カ月を経過した日以降にできます。申請の相談や手続きは、市区町村役場の障害福祉課や保健所などになります。また、ホームヘルプサービスを利用するためには、サービス利用計画案を作成し、市区町村役場の障害福祉課へ提出する必要があります。サービス利用計画案の作成は、住所地を管轄する指定相談支援事業所という支援団体に手伝ってもらうこともできます。指定相談支援事業所はインターネットで探すことができるので、それぞれの事業所のサイトを見比べてみるとよいでしょう」