父親の認知症発症…一変した家族の日常

そのような生活が何十年も続いたのち、父親は70代後半から認知症の症状が出始めました。

自宅で母親から介護を受けながら、デイサービスを利用していた父親。それでも時間とともに認知症はさらに進行し、困った行動が増えてしまったそうです。

家の中を理由もなくフラフラする。一人で勝手に家の外に出て迷子になる。そして一番の困りごとは、家の中で所かまわずお漏らしをしてしまうこと。

おむつの肌触りが嫌なのか、いつの間にか外してしまい、そのままお漏らしをしてしまうのです。その度に母親は下着とズボンを履き替えさせ、汚物の処理と床の拭き掃除をしていました。いくら母親が丁寧に掃除をしても、家の中はどうしても臭いがこもってしまいます。

これに耐えられなくなった兄は怒りを露わにしました。

「ジジイのせいで家中どこにいても臭ぇじゃねぇか! おい、ジジイ。お前が一番の元凶なんだから、部屋から勝手に出てくるんじゃねぇよ」

大声で騒ぎながら壁を叩き、父親を威嚇するようになってしまったのです。父親は状況が理解できず、恐怖で弱々しい声を上げるばかり。そのような父親の反応が、より一層兄の神経を逆なでするのでした。