半導体向けも存在感、静電チャックで有力 生産2.5倍に増強へ

もっとも、堅調なプラグ事業や積極的な株主還元は以前からの前提で、いわば株価の土台です。近年の株価上昇には、半導体事業の存在も見逃せません。

日本特殊陶業のもう1つの顔が半導体製造装置(SPE)向け事業で、静電チャック(※)や半導体パッケージなどを手掛けています。静電チャックは新光電気工業やNGK(旧・日本ガイシ)、TOTOなどと並んで世界上位グループの一角を占めるとみられ、プラグのようなトップシェアではないものの、主要なプレイヤーの位置付けです。

※静電チャック…シリコンウェハの固定部品

そして、SPE市場の環境は良好です。SPE大手6社の売上(※)は25年度に5兆699億円に達し、3年間で29.6%成長しました。今期にあたる26年度においても、東京エレクトロンは上期まで前期比33.1%の増収、SCREENホールディングスは通期で同19.7%の増収を見込むなど高い成長が続く見通しであり、日本特殊陶業のSPE事業にも需要が期待されています。

※SPE大手6社…東京エレクトロン、ディスコ、レーザーテック、アドバンテスト、SCREENホールディングス、KOKUSAI ELECTRIC(レーザーテックの25年度売上は予想)

なお、日本特殊陶業はSPE事業を「コンポーネント・ソリューション事業」へ区分しますが、コンポーネント・ソリューション事業は26年3月期に45.8億円の営業損失となり、2期連続の赤字となりました。

ただし、赤字の主因は2025年6月に連結子会社化した東芝マテリアル(現・ニテラマテリアルズ)の買収に伴う償却費と、医療用酸素濃縮器事業(CAIRE社)の減損損失です。SPE事業は生成AI関連用途や先端ロジック向けが堅調で利益を伸ばしており、今期(27年3月期)にはコンポーネント・ソリューション全体で黒字化を予定しています。

【コンポーネント・ソリューション事業の営業利益】
・25年3月期:-62.90億円
・26年3月期:-45.80億円
・27年3月期:83.92億円(予想)

日本特殊陶業はSPE事業へ資源を傾ける方針です。コンポーネント・ソリューションへの設備投資額は今期に266億円を計画しており、プラグなどの自動車関連(206億円)より多額を投じます。また、今期には新工場(宮城県富谷市)の稼働も予定しており、生産能力は30年頃までに2026年3月期比で2.5倍に高まる見通しです。

近年はセラミック関連企業が「半導体株」としての評価を集め、株価が上昇する例が目立ちます。日本特殊陶業にも同様の期待が向けられ、株価を押し上げているとみられます。