もう1つの注目点 ライフサイエンスの赤字縮小が進行中
AGCは25年に中期経営計画における業績見通しを下方修正(2026年12月期営業利益:2300億円→1800億円)しましたが、その一因としてバイオ医薬品の開発製造受託(CDMO)事業を含むライフサイエンス事業の不振が挙げられていました。現在、この領域でも改善に向かう動きが出ています。
最大の赤字要因だった米コロラド州のバイオ医薬品拠点について、AGCは2025年に撤退を決定しました。同時に大型のステンレス培養槽(SUS)を用いた生産から退き、AGCが強みを持つシングルユースバッグ培養槽(SUB)での生産に集中する方針へ転換します。
その効果は数字にも表れています。今期(2026年12月期)の第1四半期におけるライフサイエンス事業の営業損失は33億円で、前年同期の62億円からほぼ半減しました。通期でも赤字は50億円まで縮小する計画で、前期の223億円の損失から大きく回復する見通しです。コロラド拠点の閉鎖で固定費削減効果が発現し、収益性が向上しました。
ライフサイエンス事業の赤字縮小は、全体の業績も押し上げる見通しです。連結営業利益は前期まで3年連続で1200億円台に低迷していましたが、今期は前期比17.7%増の1500億円を見込んでおり、5年ぶりの2桁成長を見込みます。
ただし、過度な期待は禁物です。ライフサイエンス事業は当初、今期中の黒字化を計画していましたが、黒字化は来期以降に後ろ倒しとなりました。足元はコロラド拠点撤退に伴う効果で損益が改善していますが、受注の拡大ペースには不確実性も残ります。
半導体事業の成長ストーリーと対照的に、ライフサイエンス事業は「痛みを伴うリストラ」の段階といえるでしょう。

