半導体テーマで再評価 30年に売上倍増目標を表明

6月の急騰の引き金になったと考えられるのが、AGCが開催した「半導体関連事業説明会」です。これまでAGCの半導体関連ビジネスは、電子セグメントや化学品セグメントの中に埋もれて見えにくい存在でした。それが今回の説明会において単独で焦点が当たり、市場の期待が集まったとみられます。

【セグメント情報(25年12月期)】

・建築ガラス(営業利益173億円、営業利益率3.91%)
建築用板ガラス、建築用加工ガラス

・オートモーティブ(同293億円、5.62%)
自動車用ガラス、車載ディスプレイ用カバーガラス

・電子(同475億円、13.39%)
液晶/有機ELディスプレイ用ガラス基板、ディスプレイ用特殊ガラス、半導体関連部材、光学関連部材

・化学品(同530億円、9.08%)
苛性ソーダ、塩化ビニル樹脂、ウレタン原料、フッ素製品、ヨウ素製品

・ライフサイエンス(同-223億円、-16.73%)
合成医農薬開発製造受託、バイオ医薬品開発製造受託、医農薬中間体・原体

説明会の柱は、AGCの半導体関連事業の売上高を30年までに25年比(1000億円程度)で倍増させるという目標です。前工程向けの高シェア既存製品を軸に、後工程向けも拡大することで成長を目指すという方針が打ち出されました。

既存製品の看板商品の1つがEUV(極端紫外線)用フォトマスクブランクスです。フォトマスクブランクスは回路パターンをウエハーに転写する際に用いるフォトマスクの材料で、EUV向けはAGCとHOYAの2社が世界シェアの大半を握るとみられます。AGCは、ガラス材料から最終工程までを一貫生産できる唯一のメーカーと自負します。

説明会では、ほかにも露光機用レンズ材や研磨剤のCMPスラリー、半導体製造装置のシーリング材に使うフッ素ゴム(FFKM)や半導体パッケージング用の離型フィルムなど、シェアの高い製品群を多数抱えていることも示されました。

後工程向けでは新製品の情報も開示され、ガラスコア基板やガラスインターポーザーといった次世代品の開発に注力していることが説明されています。前工程だけでなく、後工程向けの製品も拡充することで、半導体製造プロセス全体をトータルで提案できる体制の構築を目指す戦略です。

AGCは「ガラスとケミカルの会社」という見方が中心でしたが、今回の説明会では「半導体材料の会社」ということが強調されました。これがAI半導体投資の波に乗る成長ストーリーとして評価され、株価の急騰につながったと考えられます。