なぜオアシス・マネジメントはカカクコムを狙ったのか
オアシスがカカクコムに照準を合わせた起点は、2025年12月25日に提出された大量保有報告書(保有基準日:2025年12月18日)にある。この時点での保有比率は5.23%(10,372,003株)。保有目的の欄には「ポートフォリオ投資および重要提案行為」と明記されていた。
この「重要提案行為」という記載は、単なる財務投資を超えた介入の意図を示すシグナルだ。金融商品取引法上、大量保有報告書に重要提案行為が記載されるのは、株主提案や役員の選任・解任、M&Aを含む資本政策の変更など、会社の重要な意思決定に影響を及ぼす行為を行う意図があることを開示する義務があるからだ。
オアシスはその後、保有比率を段階的に引き上げている。2026年4月28日には15.74%から17.17%へ(提出日:2026年5月11日)、2026年4月30日には17.17%から19.52%へ(提出日:2026年5月12日)と積み増した。つまりTOB発表日(5月12日)には、オアシスの保有比率は発行済み株式の19.52%に達していたことになる。
オアシスがカカクコムに着目した背景として、同社の財務構造の特性がある。カカクコムの2026年3月期の売上収益は941億円(前期比20.0%増)、営業利益は272億円(同7.0%減)の増収減益、営業利益率は28.9%(同8.4ポイント減)だが依然高水準を保っている。一方でDGとKDDIという安定的な大株主が38%超を占める構造は、流動株式の少なさを意味する。アクティビストにとって、こうした「安定株主が大きく、割安感のある優良事業会社」は、M&Aのターゲットになりやすい傾向がある。
一方、EQTによる買付価格は1株3,000円であったが、TOB発表当日(2026年5月12日)の終値はすでに2,925円まで上昇していた。そのため発表翌日(2026年5月13日)の株価はストップ高となる3,425円まで上昇した。市場がTOB価格を大きく上回る水準をつけたことは、一般株主の間に「3,000円では不十分」との見方があることを示唆している。
