遙香が明かした隠し口座の正体

「え? だって最近、素っ気なかったし俺の知らない口座にお金を貯めてただろ? あれって離婚後の生活費を貯めてたんじゃないの?」

海斗がそう言うと遙香は笑い出した。

「あ、そういうことか……。それで離婚って思っちゃったんだね……」

「ち、違うのか?」

遙香は首を横に振った。

「あれは2人で貯金してる進学用のお金よ。口座を変えたの。新しい銀行のほうが金利とか管理がやりやすいってなってたからね」

遙香の説明を聞いて、海斗は納得した。

「だからあんなにお金があったのか……」

遙香は軽く頭を下げてきた。

「ごめんなさい。あなたにちゃんと説明をしておかないといけなかったわね」

「い、いやお金の管理は全部遙香に任せてるからいいんだよ。俺がちょっと早とちりしちゃってただけで」

「……ごめん。あなたがそんなことを考えるなんて思ってもなかったわ」

海斗は遙香に確認をした。

「じゃあ、離婚とかはないってこと?」

「当たり前でしょ。そんなの考えたこともないわ」

遙香の言葉を聞いて海斗は胸をなで下ろした。ついでに気になってたことを聞いてみた。

「じゃあさあの見たことないネックレスは何? あんなブランドものどこで買ったの?」

「ネックレス? ああ、あれブランドものじゃないわよ。雑貨屋で買ったやつだから。入れ物がなかったから昔持ってたケースに入れてたってだけ」

「……ああ、なるほど。それじゃあ最近、ずっと携帯を見てたのは何で? 風呂場にまで携帯を持ち込むなんて遙香らしくないよね?」

海斗の質問に遙香は真面目な表情になった。

「……うちがボーナスなしになったって言ったでしょ。やっぱり会社としてもいろいろ大変みたいなの。だから新しい仕事を見つけたりとか今からダブルワークで何かできないかなって探してたのよ。高校は大丈夫そうだけど大学とかも考えたらのんびりしてられないなって思って」

遙香の話を聞いて海斗は眉根を落とした。

「それなら言ってくれればいいのに……」

「ごめんね。あなたを心配させたくなくて。親として私ひとりで何とかしないとって思っちゃってたの」

遙香の言葉を聞いて海斗は息を吐き出した。

「俺もそうだけど、やっぱりコミュニケーションが足りてなかったね。お互い、思ってることはどんどん話し合っていこう。じゃないとすれ違いが起きてしまうからさ。悠真も含めた3人で幸せになるためにはそれが必要だと思うよ」

海斗がそう言うと遙香もゆっくりうなずいた。

話を終えると、海斗は寝室に戻って部屋着に着替えた。リビングに戻ると料理が準備されていて、さらに遙香はプレゼントしたイヤリングをつけてテーブルに座っていた。

「それ、似合ってるね」

少し照れくさい気持ちだったが、正直に海斗は気持ちを伝えた。それはきっと、コミュニケーションの第一歩だ。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。