遙香に伝えたかった気持ち

その日、海斗は外回りの仕事をすぐに終わらせて定時で会社を出て、その足で駅前の百貨店に向かった。プレゼントに何を渡すかはもう決めていた。お目当てのものを購入した海斗は帰宅してリビングの扉を開けた。

「おかえり。ご飯温めるね」

そう言って遙香はテーブルから立ち上がった。

「……悠真は部屋で勉強か?」

「うん。そうだよ」

遙香の返事を聞いて海斗は遙香を追ってキッチンに向かった。キッチンに海斗が来たことに遙香は少し驚いていた。

「え? 何? どうしたの?」

海斗はそこで遙香に紙袋を渡した。

「これ、プレゼント」

遙香は目を丸くして紙袋を見ていた。紙袋にはブランドのロゴが入っている。淡い水色をブランドカラーにしたあのブランドのものだ。

「な、なんで?」

遙香は戸惑いながらも紙袋を受け取り、中身を取り出した。水色のケースを開けると中にはイヤリングが入っていた。

「前にお気に入りだったヤツをなくしちゃっただろ。だからそれを使ってくれたらなと思って」

遙香は顔をほころばせながらも目はまだ動揺していた。

「う、嬉しいけど、なんで急に……?」

「いやなんか遙香が元気なく見えたから……」

とりあえず海斗は本当の理由をごまかして伝えた。しかし遙香はすぐにそのウソを見破った。

「そんなことでこんな高価なものをプレゼントするって変だよ。なんかあるんでしょ? 正直に言って。じゃないとこんなの受け取れないよ」

「いや、本当にいつも家族のために頑張ってくれてるから、それへの感謝の気持ちだよ。今までこういうことを俺は伝えるのをサボってたから。今までの感謝の分をプレゼントしようって思ったんだ。それで、もし、遙香が嫌じゃなかったらこれからもよろしくねって思ってさ……」

海斗は自分なりの言葉で気持ちを伝えた。しかし遙香はぽかんとした顔で海斗を見ていた。

「どういうこと? 嫌じゃなかったらって? これからもよろしくって当たり前じゃない」

「……いやだって俺と、離婚を考えてるんじゃないの?」

海斗が疑問をぶつけると遙香は口を大きく開けた。

「はぁ⁉ 何それ⁉」