妻の不自然な行動の数々
それから海斗は遙香の行動を気にするようになった。単なる考えすぎだと思いたいのだが、どうしても遙香の行動の一つひとつが昔と変わっているように見えていた。
しかし海斗は疑いの色が濃くなる決定的な場面を目撃してしまった。ソファに座り、2人でテレビを見ているとき、遙香は相変わらず携帯をイジっていた。普段なら画面をのぞき込むなんてことはしない。夫婦とはいえ、相手のプライバシーは尊重しないといけなかった。だが疑いの気持ちから携帯の画面がどうしても気になって、視線を向けてしまった。
遙香は見慣れない銀行アプリの操作をしていた。それだけでも不自然だが、衝撃だったのはそこに表示された額だった。
がっつりとお金が貯金されていた。画面を見た瞬間、海斗は息をのんだ。
悠真の進学費用として共有とは別に口座を持ち、遙香が管理をしてくれていた。しかしその口座は地元の銀行のものだ。遙香はそれとはまた別に口座を持ち、そこにまとまった金を貯め込んでいた。
そんな話を、海斗は一度も聞かされていない。
また、どうしてこんなまとまった額を貯められたのだろうかとも疑念が湧いた。もしかしたらボーナスがもらえなかったというのもウソで、すべて隠し口座に入金したのかもしれない。仮にそうだとしてなぜ遙香は黙ってこんなことをしているんだ?
考えていけばいくほど、海斗の胸の奥が冷たくなっていた。素っ気ない態度や風呂場まで携帯を持っていくことなど遙香の不自然な行動をまとめると1つの答えにたどり着いた。
もしかしたら遙香は離婚をしようとしているのではないだろうか。
あのお金は自分と別れたあとの生活のために、貯めたものだ。その結論にたどり着いた瞬間、海斗はテレビの音が遠くなっていくのを感じた。
●妻・遙香の見知らぬネックレスの発見、風呂場への携帯持ち込み、そして隠し口座の存在……。妻の不審な行動が重なり、海斗はついに「離婚の準備をしているのではないか」という最悪の結論にたどり着いてしまう…… 後編【「はぁ⁉ 何それ⁉」離婚を疑いイヤリングを贈った夫に妻が明かした隠し口座と素っ気ない態度の真相】にて、詳細をお伝えします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
