国策化の造船は継続へ転換 AIで半導体とロボット事業にも注目
住友重機械工業は総合機械メーカーです。油圧ショベルといった建設機械やプラスチック射出成形機、医療用MRI向け極低温冷凍機など、さまざまな産業向けに製品を製造しています。近年は減速機や変速機といったメカトロニクス事業が伸び、最大の収益源に育っています。
【各セグメントの主な製品(25年12月期)】
・メカトロニクス(営業利益:190億円)
減・変速機、モータ、インバータ、極低温冷凍機、精密位置決め装置
・インダストリアルマシナリー(同42億円)
プラスチック加工機械、フィルム加工機械、精密鍛造品、半導体製造装置、医療機械器具、防衛装備品
・ロジスティックス&コンストラクション(同140億円)
油圧ショベル、建設用クレーン、道路機械、運搬荷役機械、物流システム
・エネルギー&ライフライン(同121億円)
発電設備、大気汚染防止装置、水処理装置、タービン、ポンプ、食品製造機械、船舶、海洋構造物
出所:住友重機械工業 決算短信
特に注目したいのが造船事業です。日本は国内造船業の再建を進めていますが、住友重機械工業は造船の現場で活用されるゴライアスクレーンを製造しており、国内シェアはトップです。その他の荷役機械でも高いシェアがあり、国内造船の盛り上がりは収益機会となります。
なお、自社での造船も一部で継続する見込みです。住友重機械工業は24年2月に商用船の製造から撤退を表明したものの、25年には今治造船から新造船の船体ブロック建造を受託しました。住友重機械工業は米海軍向けに修理船事業を展開しており、今後は修繕および洋上風力発電向けへ注力する計画でしたが、国内で造船機運が高まるなか、船体の受託製造にも期待が向けられています。
もう1つ、注目したいのが半導体向け事業です。住友重機械工業はイオン注入機や真空ロボットなど、半導体の製造に用いられる機械を手掛けており、AIによる需要の受け皿になることが期待されます。
さらに、住友重機械工業は減速機やモーターなど、ロボットの駆動や制御に不可欠な機械部品も得意です。ヒューマノイドロボットの開発にも参画しており、フィジカルAIでも注目されやすいでしょう。
もっとも、AIの恩恵はメモリやロジックに集中しているところ、住友重機械工業の半導体製造装置はパワー半導体やイメージセンサー向けが主体であり、現状は同社への追い風は限定的です。今後はメモリやロジック向けにも展開する方針であり、需要の獲得を目指します。
