良いセクターと悪いセクターはどこ?

――投資機会が見込めるセクターや、反対にリスクが大きいと考えるセクターについて、具体的に教えてください。

特によいと思っているセクターが「情報技術」、「資本財」、そしてインフラに関わる「公益事業」です。

情報技術については、先述の通りバリュエーションの調整があり、今後の成長期待を踏まえれば魅力的な価格だと考えます。

資本財については、AI活用の進展に伴うデータセンター投資やインフラ整備、製造業の自動化・高度化への需要が追い風となっています。加えて、防衛やエネルギー関連分野でも設備投資が継続しており、安定した成長が期待できるセクターです。

公益事業はディフェンシブ銘柄としても見られますが、近年はデータセンターの電力需要などのテーマにより成長セクターとしても機能するようになってきています。今年の3月にトランプ大統領が米大手テック企業と電力供給減の確保を求める誓約を結ぶなど、構造的な追い風もあります。

一方で、消費関連のセクター、つまり「一般消費財」と「生活必需品」については慎重に見ています。足元の消費の底堅さは高所得層で支えられており、低中所得層の負担増加や貯蓄の目減りが進んでいるというデータが出てきており、消費関連のセクターは低調が予想されます。

――AIの台頭でさまざまなサービスが代替されていくのではないかという話もある一方で、AIバブルではないかという声もあります。AI関連のセクターについてはどのように見ていますか。

ソフトウェアは非常に興味深い領域だと捉えています。ソフトウェア関連銘柄は2026年の頭に調整があったものの、これは不安感が高まった結果で、業績自体に大きな変化は見られません。

だからといってソフトウェア全体を追っていくのではなく、その中でも勝ち筋の選別をしていくことが必要になってくるでしょう。クライアント企業内のデータを深く統合していたり、セキュリティやサイバー領域での優位性を持っていたり、既存の業務フローへの組み込みが大きいサービスであったりと、参入障壁をしっかりと築けている企業であれば、今後も有力な投資先となる見込みが高いです。

年初来のAI/テクノロジー関連の売りによって価格調整が進んだ結果、3月後半以降はバリュエーション面でも相対的な投資妙味が高まっていると見ています。

また、ソフトウェアに限らず、その他のAI関連株についても同様に年初来の調整を経て評価水準が見直されており、現時点では投資を検討し得る水準に近づいてきたと考えています。

投資における注意点は?

日本ではS&P500のみに投資する方も少なくないですが、そこにセクター投資を組み合わせる意義や注意点を教えてください。

S&P500の中でもテクノロジー系の3つのセクターが5割以上を占めており、テクノロジー関連に大きなリスクを負うことになります。S&P500は時価総額の大きい企業にリターンが左右されるので、その調整をするためのツールとしてセクター投資が一つの選択肢になるでしょう。自身のマクロ環境の見方を投資に取り入れ、リスクリターンを調整していただけることが、セクター投資を使うメリットになります。

注意点としては、あくまでもセクター投資はコアとなる投資対象に対してリスクを分散させるツールであるため、セクター投資をメインに据えることはおすすめしません。また、マクロ環境の変化に適切に対応するために、ほったらかしにするのではなく、投資配分を検討する時間軸をきちんと決めていただくほうがよいと思っています。月次で見ていく、四半期で見ていく、より長期的なスパンで見ていくといったように、自分の中で時間軸を持って投資していただくことが大切です。