バンド活動で借金を作った

拓斗さんは若い頃、バンド活動に打ち込んでいた。バンドはメジャーデビューを目指して活動していたので、機材や遠征費などにお金がかかっていた。そのせいもあって拓斗さんは太田さんから10年ほどの間に総額600万円ほど借りていたようだ。

しかし、この借金は、太田さんが生きている間には返済されていなかった。
つまり、相続当時、拓斗さんは太田さんに600万円を返済する義務を負っていたことになる。

ご存知の方もいるかもしれないが、基本的に相続では、故人のすべての財産が引き継がれる。その中には、現金などプラスの財産もあれば、借金などマイナスの財産(負債)もある。

生前の太田さんが拓斗さんに貸した600万円を「返してもらう権利」も、郁子さんら各相続人が引き継ぐことになるわけだ。

仮に郁子さん、拓斗さん、悠莉さんが法定相続分に準じて相続した場合、太田さんが生前有していた「600万円の借金を返してもらう権利」は、下記のように相続される。

 

・郁子さん…300万円

・拓斗さん…150万円

・悠莉さん…150万円

 

これが家族間での認識の違いを白日のもとにさらけだし、相続争いが起きてしまった。

なお、補足になるが、拓斗さんの相続分150万円に関しては自身が借りた150万円であるため、貸主と借主の地位が混同するため事実上返済が免除される。

●激怒する長男に対して、家族が取った「最終手段」とは……。後編【「そんな昔の話、蒸し返す必要あります?」借金返済を拒否していた長男に一転して返済を約束させた「起死回生の一手」】では、契約書の有効性、および、後輩の執拗な嫌がらせの模様が明らかに。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。