「今さら返せって言われても納得できないよ!もう父さんは亡くなってるんだよ!?」
そう言い放ったのは、長男の拓斗さん(仮名)だ。
その言葉に対し、母の郁子さんと弟の悠莉さんは言葉を失った。
今回紹介する事例は、「故人からの借入金」が相続によって表面化し、それが家族間の深刻な対立に発展した事例だ。
身内同士のお金の貸し借りは誰でも一度は経験があるだろうが、相続においては被相続人の生前には曖昧にされがちだ。その点を念頭に置いて読んでいただきたい。
原因は「600万円の借金」
太田さんが亡くなったのは昨年のことだ。
生前には計画的に終活をされていたので、そのお手伝いをした私も、よほどのことがなければ相続でトラブルにはならないと安心していた。
しかし、その予想は裏切られることとなった。
「遺産は妻・郁子と長男・拓斗、次男・悠莉で均等に分ける」
この一見、何の問題もない公平な遺言の一部が、まったく予想外の相続トラブルを招いてしまったのだ。
原因は長男である拓斗さんが太田さんから借りていた600万円の借金だ。
