購入時手数料はゼロが妥当?
「手数料は安い方がいい」というのは、他の商品やサービスと同様、投資信託にも当てはまります。特に近年は、投資家に選んでもらいやすいように、「購入時手数料:ゼロ」をうたう投資信託や販売会社も増えてきました。
こうした状況が広がった背景には、インターネットの普及があります。ネット証券の台頭や、販売担当者の説明に頼らずに売買する投資家が増えたことで、購入時手数料に対する投資家の目は厳しくなりました。手数料を支払わずに済むのは魅力的です。
その一方で、「適正なサービスに対しては、適正な対価を払ってもいい」という考えを持つ人もいます。そして、購入後も相談できる担当者がいることに価値を感じる人にとっては、その対価として支払う購入時手数料は、必ずしも高いものではないと言えます。
「自己完結できるからオンライン取引で十分」という方もいるかもしれませんが、どんなサービスを求めるかによって、個々人の選択は変わります。受けたいサービスがあり、それに対して手数料を支払うというのは、とても健全な関係だといえます。投資信託が身近になり、選択肢が広がった今だからこそ、自分にあった取引の形を改めて考えることは大切だと思います。
信託報酬が低いものを選べばいい?
少額投資非課税制度(NISA)の売れ筋上位にくる投資信託を見て目に留まるのが、「信託報酬の低さ」です。少しずつかかるものなので、保有中に高い・安いと負担感を感じることはほぼありませんが、少しでも低い方が良いと思うのは自然なことでしょう。
とはいえ、少しでも低い信託報酬を選んでおけば安心、といった選び方には注意が必要です。まず、ここ10年程で信託報酬の競争が進んだ結果、わずかな差から生み出される成果にどれほどの意味があるのか、見出しづらくなっているということがあります。
例えば、年率0.2%と年率0.3%の信託報酬の差は、0.1%です。この差が基準価額に与える影響は、1日当たり約0.00027%(=0.1%÷365日)。基準価額が10,000円だと仮定すると、1日当たり約0.027円、年間では約10円の差となります。
信託報酬の料率と実質的な負担額
確かに、わずかな差でもチリも積もれば大きな差になるので軽視すべきではありません。ただ、投資信託を買ったことのある人なら分かると思いますが、基準価額はほぼ毎日、この信託報酬の差を上回る動きをします。運用の巧拙が与える影響の方が相対的には大きくなる場合もあるので、信託報酬のわずかな差を気にし過ぎる必要はあまりないと言えます。
また、信託報酬を基準にした商品選びをしたときに陥りやすいのが、ユニークな運用方針を掲げるアクティブファンドなどを除外してしまうかもしれないということです。
投資信託は、S&P500指数や全世界株式指数への連動をめざすインデックスファンドだけではありません。半導体やロボティクス、スペースなどの特定のテーマや、新興国や資源国に注目する投資信託なども存在します。そして、一般的にインデックスファンドの方が信託報酬は低いため、信託報酬だけで選ぶと、後者の魅力的な投資機会を見逃してしまう可能性が出てきます。
確かにコストは大切ですが、投資先の違いの方が最終的な成果には大きく影響してきます。皆さんが資産運用をする目的は、資産を増やすことであって、コストを減らすことではないはずです。だからこそ、何に投資するのかという、より本質的な部分にこそ、関心を持っていただきたいと思います。
良い選択のために正しい理解を
投資信託の費用は、他の金融商品と比べても、透明性が高く料率が明示されており、広く開示されています。目論見書を見ればあらかじめどのような費用がかかるかが分かるだけでなく、運用報告書を見れば、「その他の費用・手数料」も含めて、実際にかかった費用も把握できます。
最初は少し難しく感じるかもしれません。それでも、「いつ」「何のために」「どのくらい」費用がかかるのかが分かると、注意してみるべきポイントが変わってきます。
これから始める方も、すでに保有している方も、費用を一度整理してみてください。そのうえで、自分が納得できる選択をすることで、長く資産形成を続けていただければと思います。

