投資信託の良しあしを見定めるのは難しい。相場つきが悪くて短期的には成績が振るわなくても、長期で見れば優れた運用を行っている投信は存在する。逆に、波に乗って一時的に好成績を収めたものの、トレンド転換と共に一気に沈んでいく投信も少なくない。
本シリーズ「探せ! あなたの“推し”投信」では、長期投信投資家に人気の投資信託の強さの秘訣を探る。
今回取り上げるのは、野村アセットマネジメントが運用する「のむラップ・ファンド」だ。同ファンドは、一般的な個人投資家にはハードルが高い「精緻なリスク管理と資産配分の定期的な見直し」を、1本の投資信託で完結させている。通常はまとまった資金を持つ富裕層向けに提供される「ファンドラップ(ラップ口座)」のような高度な運用プロセスを、少額から誰もが利用できるのが特徴だ。本稿ではその実力と注意点をひもといていきたい。
リスクを抑えつつ“成長をあきらめない”バランスファンド
「のむラップ・ファンド」は、国内外の株式・債券、そして世界各国のREITへ幅広く分散投資を行う投資信託だ。
最大の特徴は、「あらかじめ設定したリスク(価格の振れ幅)水準を一定に保ちながら、着実な成長を目指す」という運用哲学にある。決められた固定比率(株式50%・債券50%など)を維持し続ける固定型のバランスファンドとは異なり、市場環境に合わせて定期的に資産配分を変更することで、リスクを抑えるだけでなく資産の「成長」をめざすアロケーション型のバランスファンドだ。
のむラップ・ファンドは、リスク水準の異なる5コースがあり、顧客のニーズに対応した「目標分配金受取型」を加えた、計10本で構成されている。
全てをあわせた純資産残高は約1兆7000億円。テレビCMなどでもおなじみの、人気ファンドの一つと言ってもよいだろう。
ここでは、分配金を受け取りながら運用する「目標分配金受取型」をのぞく、「保守型」「やや保守型」「普通型」「やや積極型」「積極型」の5ファンドに絞って紹介していく。
リスク水準の異なる5ファンド
支持を集める理由は3点に集約される。第一に、資産配分の異なる複数のファンドが設定されており、自分のリスク許容度に合わせて好みのものを選べることだ。例えば、最もリスクの高い「積極型」では外国株式を55.1%も組み入れている(2026年3月31日現在)。リスク水準は高くなるが、そのぶん外国株式の高いリターンを十分に享受できる仕組みになっている。
第二に、市場の変化に定期的に対応するリスクコントロール機能だ。「3カ月ごと」に各資産の期待リターンや相関係数など長期的な観点からの見直しと、「1カ月ごと」に中短期的な値動きの観点からの見直しを並行して行う。二段構えの強固な運用体制をとることで、リスクをしっかり管理する。
第三に、予期せぬ市場ショックへの耐性だ。ある特定の資産が短期的に大きく値下がりした場合には値動きの反転に備えてその投資配分比率を引き上げ、逆に短期的に大きく値上がりした場合には投資配分比率を引き下げてポートフォリオ全体を守っていく。
株価が乱高下する局面では、徹底してロジカルに資産の防衛を図れる点は大きな魅力である。
