赤いランドセルを背負った入学式

迎えた入学式の当日、家族4人で小学校へと向かった。体育館の前で受付をして、楓たちは体育館に向かい、竜星は教室へと歩いて行った。楓は赤いランドセルを背負って教室に向かう竜星に「頑張れ」と念を送りながら見送った。

「そんなに竜星のことが心配か?」

保護者席に腰かけたとき、洋介から声をかけられて楓は驚いた。

「え……?」

「竜星がランドセルを背負って楽しそうにしてるのに、お前だけはずっと不安そうに見てるからさ。もっと笑ってあげたほうが竜星は喜ぶと思うぞ」

気付かれていたのかと意外な気持ちがした。

「……だってやっぱり違和感があるもの」

「まあそういう感覚を持ってる親はいるだろうけど、子どもたちには関係ないよ。さすがにピンクまでいくとちょっとからかわれるかもしれないけど」

「あんまり変わらないと思うわ……」

「まあ、もし赤いランドセルがどうしても嫌になったら、買い替えればいいんだよ」

「……いいの?」

洋介の思わぬ提案に、楓は目を丸くした。

「当たり前だろ。母さんにはちょっと悪いけど、竜星のためならそれくらい納得してくれるよ。俺だって、あいつのためならできる限りのことはやるつもりだ。でもきっと大丈夫だよ。カラフルで、なんだか楽しそうな学校だ」

楓の頭のなかに、少し緊張した様子で教室へ向かう竜星の後ろ姿が思い浮かぶ。色とりどりのランドセルを背負って歩く子どもたちの後ろ姿といっしょに。

「そうね、きっと大丈夫」

楓は自分に言い聞かせるように、力強く言った。