<前編のあらすじ>

栗原尚樹さん(仮名)は45歳の会社員です。人事部で新たな評価制度を作り上げるなどキャリアを積んできましたが、会社のAI導入によりリスキリングの対象となり、デジタル戦略部への異動を命じられてしまいます。

戸惑いと無力感を抱える中、7年ぶりに帰った地元でさらに「残酷な現実」を突き付けられるのでした。

●前編【AIに仕事を奪われた…人事部エース・45歳男性が突然の異動辞令で味わった絶望と無力感「驚く以上に戸惑いました」】

帰省中に果たした思いがけぬ再会

自由民主党が圧勝した2月の衆議院選挙で躍進した新興政党の党首が、「日本でもAI失業対策が必要だ」と話していました。確かに、その通りだと思います。私自身も広義のAI失業と言えるかもしれません。45歳になって突然、AIに職場を奪われ、ほとんど経験のない部署に異動になったのですから。

失意の中で有休消化の休暇を取り帰省した先で、私は思いがけぬ再会を果たしました。

きっかけは、駅を降りた時に「栗原君?」と声をかけられたことでした。

相手が誰かはすぐに分かりました。中学の同級生で、当時のクラスのアイドル的存在だった恵だったからです。色白の整った顔立ちと斜め分けのショートカットが当時デビューしたアイドル女優と激似で、他の学校の生徒が顔を拝みにくるほど人気でした。成績はトップクラスというわけではなかったと思いますが、いつもはきはきしていてリアクションも良く、地頭のいい女子という印象でした。

ルックスは当時とあまり変わっておらず、今風に言うなら美魔女でしょうか。風の噂で大学の先輩と結婚したと聞いていたので、この時期に地元で会うのは意外でした。「帰省?」と尋ねられたので頷くと、「車だから送っていくよ」と言うではないですか。