AIブームはエネルギー問題?
世の中はAIブームの真っ只中となっていますが、AIを動かすには膨大な「電力」が必要です。
AIに1回問い合わせをするだけで、通常のGoogle検索1回の10倍の電力が消費されるという試算があります。
データセンターの電力需要は、2023年から2030年にかけて10倍、あるいは指数関数的にそれ以上に増える可能性があります。
AIがより高度な推論(思考回路を巡らせること)を行えば行うほど、電力消費は凄まじいものになります。
エネルギー価格高騰がもたらす「スタグフレーション」
もしオイルショックによって電気代が高騰すれば、AIブームはどうなるでしょうか。
現在、OpenAIなどの企業は膨大な赤字を出しながらサービスを提供していると言われていますが、電力コストが跳ね上がれば、利用料金を大幅に引き上げざるを得なくなります。
「AIは確かに凄いが、人間を雇うよりはるかに金がかかる金食い虫だ」という認識が広がれば、現在株式市場を支えているAIデータセンター建設やAI投資のブームは一気に冷え込むでしょう。
AIという成長の柱が折れ、コスト高による不況だけが残れば、それはまさに「現代版スタグフレーション」の再来となります。
一方で、この危機は「省電力技術」を持つ企業にとっては最大のチャンスとなります。
かつての日本車が燃費の良さで世界を制したように、より少ない電力でAIを動かせる半導体や材料、そして安定した電力を供給できる「原子力発電」関連の技術を持つ企業は、これからのエネルギー制約時代において圧倒的な強みを発揮するはずです。
恩恵を受ける業界と避けるべき業界
過去の教訓と現代の構造を踏まえ、注目すべきセクターを整理します。
・恩恵を受けるセクター
原油高の直接のメリットがある「商社」や「エネルギー関連」の企業には要注目です。
また、地政学リスクの高まりから「防衛関連」も注目されます。
長期的には、エネルギー供給の鍵を握る「原子力関連」や、省電力技術に強みを持つ「省電力半導体・材料メーカー」が非常に有望です。
・避けるべき・警戒すべきセクター
燃料費が直撃する「航空」や、原材料費が上がる「化学(一部)」の分野には注意が必要です。
特に「EV(電気自動車)」に関しては、世界的な電力不足が深刻化する中で、貴重な電力を自動車に回す余裕がなくなり、ブームがさらにしぼむ可能性があります。
むしろ、車の中で自ら発電して走る「内燃機関(ガソリン車・ハイブリッド車)」の価値が再評価されるかもしれません。
また、インフレで売れないのに原価が上がる「小売・内需系」も、スタグフレーション下では厳しい戦いを強いられます。
長期投資家としての視点
私たちは今、歴史の転換点に立っています。
短期的に原油価格の上昇にベットするのも一つの手法ですが、私たち長期投資家が目を向けるべきは、このエネルギー危機を乗り越えるための「技術」を持つ企業です。
1970年代の日本がそうであったように、厳しい環境下でこそ、真に効率的で社会に必要な技術が花開きます。
株価が大きく下落する局面は、そうした「本物の企業」を安値で拾う絶好のチャンスでもあります。
株価が急激に上昇する「稲妻が輝く瞬間」は、往々にして市場が絶望に包まれている時に訪れます。
歴史から学び、冷静に準備を整えた投資家だけが、その恩恵を享受できるのです。
