EV化が商機に、中国への高度な現地化が奏功 日系シェアは6割台まで低下
株価の反発理由として、もう1つ考えられるのがEV(電気自動車)です。日本精工は、自動車のEV化で恩恵が期待できる貴重な銘柄となっています。
前提として、EVは中国が席捲している市場です。EVの新車販売台数は24年に1750万台に達しましたが、うち中国が1130万台を占めています(出所:ジェトロ)。BYDなどの中国EVメーカーは世界進出も加速しており、欧州では米テスラからシェアを奪う流れが強まっています。
中国メーカーの成長は日本勢にも影響しており、国内の完成車メーカーはEV市場にうまく参入できていません。本田技研工業もEV戦略の大幅な見直しを強いられ、27年3月期までの2年間で最大2.5兆円の損失を計上すると発表しました。
国内の自動車部品メーカーの顧客は、日本の完成車メーカーが中心です。したがって、完成車メーカーが不振なら、自動車部品メーカーも苦戦しやすい構図です。日本の自動車産業にとって、EV化は成長機会よりも脅威として影響しています。
ただし、日本精工は世界的にシェアが高く、中国向けでも一定の売り上げを持ちます。中国には1992年に進出し、高度な現地化を進めてきました。大規模な生産拠点と販売拠点を構え、売り上げは連結で日本に次ぐ市場となるなど、日本精工にとって中国は重要な市場となっています。
【地域別売上高(2025年3月期)】
顧客をメーカー別に見ても中国は伸びている模様です。日本精工の自動車事業は、売上高の73%を日系メーカーが占めますが、22年3月期の78%からは低下しました。同じ期間に、電動車(EVおよびハイブリッドEV)向け製品の比率は10%から25%へ上昇しています。日本精工は、27年3月期には日系メーカーの比率が69%まで低下し、電動車向け製品は45%まで上昇すると予想します。
EV化は世界的な流れですが、日本勢は苦戦しているところ、日本精工には収益機会となっています。日本精工の株価の上昇は、同社のユニークな立ち位置が反映されているのかもしれません。
