小学生の時に病気で母親を亡くした坂本隆さん(仮名)は、その後、男手一つで自分を育ててくれたお父様に対して特別な思いがあると言います。坂本さんは大手企業の営業職で転勤の多いサラリーマン生活を送ってきたことから、東京に戻った今は実家から2駅ほど離れたところに賃貸マンションを借り、週に1度は顔を見に通っています。

お父様は間もなく80歳になり今もお元気ですが、アルツハイマーの家系らしく、お祖父様も、兄である伯父様も晩年発症して別人のようになってしまったことから、自分がそうなるのを何より恐れていたそうです。特に昨年、脳ドックでMCI(軽度認知障害)を疑われた時はものすごい狼狽ぶりだったとか。それからは家に籠もりがちになったお父様を案じた坂本さんは、ある専門家に相談します。

〈坂本隆さんプロフィール〉
東京都在住
53歳
男性
会社員
妻、大学生の娘2人と4人暮らし
金融資産1200万円(世帯)

伯父の認知症で目の当たりにした現実

5年前に亡くなった伯父は晩年アルツハイマー型認知症の診断を受けていたこともあり、従兄弟たちが介護施設入居の資金繰りに四苦八苦していたのをよく覚えています。

伯父は都下に100坪の自宅を持っていて、従兄弟たちは当初、「いざという時は自宅を売却すればいい」くらいに楽観的に構えていたと言います。しかし、伯母に先立たれて一人で暮らしていた伯父の認知機能の低下に気づくのが遅れ、診断を受けた時にはかなり認知症が進行した状態で法定後見を使わざるを得なかったようです。

そうなると、自宅不動産の売却はかなり難しくなります。